政策調整の時が来た:パウエルFRB議長

AI要約

米国のFRB議長が金融緩和の必要性を強調し、9月の利下げが確実視される。

パウエル議長はインフレ率の目標達成と労働市場の冷え込みを理由に利下げの必要性を述べた。

市場はパウエル議長の発言を好感し、仮想通貨や伝統的市場に活気が生まれている。

政策調整の時が来た:パウエルFRB議長

ジェローム・パウエルFRB議長が金融緩和の「時が来た」と発言したことで、米国の中央銀行金利はついに、9月に引き下げられることが確実視されている。

パウエル議長は、カンザスシティ連銀主催の経済シンポジウム「ジャクソンホール」の基調講演で、「インフレ率が2%に戻る持続可能な道筋をたどっているという確信が深まった」と述べ、次のように続けた。

「労働市場はかつての過熱状態からかなり冷え込んでいる。労働市場がこれ以上冷え込むことは望んでいないし、歓迎もしていない。政策を調整する時が来た。方向性は明確であり、利下げのタイミングとペースは、入ってくるデータ、進展する見通し、リスクのバランスによる」

市場はパウエル議長が9月のFRB理事会での利下げを示唆することを十分に予想していたものの、発言のトーンは予想よりもややハト派寄りだったようだ。講演後の数分間で、ビットコイン(BTC)は1%以上上昇し、6万1900ドルとなった。

伝統的な市場も大きく上昇している。ナスダックは1.7%高、S&P 500は1.2%高、金は1%上昇。米10年国債利回りは5ベーシスポイント低下の3.80%、ドルインデックスは0.6%下落した。

FRBの政策金利がゼロに近い状態が何年も続いた後、FRBは2022年初頭に長く続く利上げに着手し、最終的に2023年にはFF金利を5.25%~5.50%のレンジまで引き上げた。

それ以来、FRBは利下げに踏み切る前に、インフレ率が目標である2%まで有意に鈍化しているという明確な兆候を見たいと考え、待ち続けてきた。そしてその日が、ついにやってきた。

今後の焦点は、FRBが9月中旬の会合でFF金利を25bp引き下げるか50bp引き下げるかだ。政策金利変更の確率を分析するCMEのFedWatchツールによると、市場の予測は引き続き25bpに傾いているが、50bpの可能性は1日前の24%から現在は32.5%に拡大している。

これから9月の決定までの間に、FRBの最終決定のカギとなる8月の雇用統計やインフレ率など、重要な経済報告がいくつか残っている。

「実質金利の低下はドルの価値を下落させる傾向があり、金やビットコインのようなドルと競合する資産を支えることができる。FRBの利下げ、暗号資産をめぐる米国の政治的センチメントの改善、米国の暗号資産ETF(上場投資信託)への純流入の組み合わせは、ビットコインの価格が今後数カ月で史上最高値に戻るのを支えるはずだ」と、グレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)のリサーチ責任者、ザック・パンドル(Zach Pandl)氏は語った。

|翻訳・編集:山口晶子|画像:ジェローム・パウエルFRB議長(Domenico Fornas / Shutterstock.com)|原文:Fed Chair Jerome Powell: Time Has Come for Policy to Adjust