並みのデスクトップPCなら凌駕、Ryzen AI 300とGeForce RTX 4070を搭載する高性能16型ノートPC

AI要約

ASUS ProArt P16 H7606WIは、Ryzen AI 9 HX 370とGeForce RTX 4070 Laptop GPUを搭載したハイスペックなクリエイター向けノートPCで、16型の有機ELディスプレイや64GBのメモリ、2TBのストレージを備えている。

電力リミットを開放されたRyzen AI 9 HX 370は、冷却システムの性能に支えられて高いパフォーマンスを発揮し、GeForce RTX 4070 Laptop GPUも強力な処理性能を提供する。

49万9,800円の価格は高額だが、デスクトップPCを凌駕する性能と持ち運びの便利さから、クリエイターにとって価値のある製品である。

並みのデスクトップPCなら凌駕、Ryzen AI 300とGeForce RTX 4070を搭載する高性能16型ノートPC

 ASUSは8月1日、Ryzen AI 9 HX370とGeForce RTX 4070 Laptop GPUを搭載したクリエイター向けノートPC「ASUS ProArt P16 H7606WI」を発売した。直販サイト「ASUS Store」での価格は49万9,800円だ。

 価格からも分かる通りのハイスペックなクリエイター向けノートPCで、16型の4K有機ELディスプレイを採用し、Copilot+ PC準拠のNPUを備えるAMD最新鋭SoCとGeForce RTX 4070 Laptop GPUを搭載したASUS ProArt P16 H7606WIは、AIを活用が加速しつつあるクリエイティブの分野において高いパフォーマンスが期待できる製品だ。今回はその実力の一端を紹介しよう。

■ Ryzen AI 9 HX 370 + GeForce RTX 4070 Laptop GPU搭載のクリエイターノート

 ASUS ProArt P16 H7606WIの本体サイズは354.9×246.9×14.9~17.3mmで、重量は約1.85kg。16型のハイスペックノートPCとしては薄型かつ軽量で、比較的持ち運びやすい。カラーはナノブラックで、光沢感を抑えた滑らかな表面処理によって落ち着いた印象のビジュアルに仕上がっている。

 AMD最新のRyzen AI 9 HX 370を搭載しており、4基のZen 5コアと8基のZen 5cコアを組み合わせた12コア/24スレッドCPUと、50TOPSを実現するNPU「Ryzen AI」、RDNA 3.5世代のiGPU「Radeon 890M」が利用できる。また、dGPUとしてGeForce RTX 4070 Laptop GPUを備えており、ゲームやクリエイティブアプリでdGPUの強力な処理性能が活用できる。

 メモリに64GBのLPDDR5X-7500、ストレージに2TBの大容量NVMe SSD(PCIe 4.0 x4接続)を装備する。強力なプロセッサと充実したメモリ/ストレージを備えたASUS ProArt P16 H7606WIは、クリエイター向けノートPCとしてはかなりのハイスペックマシンだ。

 ディスプレイにはASUS Lumina OLEDと呼ばれる16型の有機ELパネルを採用する。アスペクト比は16:10で解像度は3,840×2,400ドット、リフレッシュレートは60Hz。ASUS Lumina OLEDの特徴として、DCI-P3カバー率100%の優れた色再現性を実現し、10点マルチタッチに対応した静電容量方式のタッチパネルも搭載している。

 有機ELパネルの上部には207万画素赤外線カメラを備えており、Webカメラとして利用することができることはもちろん、Windows Helloの顔認証も利用できる。

 インターフェイスは本体の左右に配置されており、左側面にUSB4 40Gbps、USB 3.1、HDMI、3.5mmオーディオジャック、電源入力(DCIN)を搭載し、右側面はSDカードスロット、USB 3.1 Type-C、USB 3.1を備える。有線LANは非搭載で、無線機能としてWi-Fi 7やBluetooth 5.4を装備する。

 ASUS ProArt P16 H7606WIには200Wの供給能力を備えたACアダプタが付属しているが、本体の左右に搭載されたUSB Type-Cポートに20V/5AのUSB電源を接続してもバッテリを充電できる。なお、ASUS ProArt P16 H7606WIの内蔵バッテリは4セル/90Whで、バッテリ駆動時間は約10.7時間。

 キーボードにはテンキーレスの82キー日本語キーボードを採用する。メインのキーはキーピッチが約19mm確保されており、各キーにはバックライトが搭載されている。

 タッチパッドは実測で約150×99mmの大きなボタン一体型で、マルチタッチとジェスチャーに対応するほか、独自機能の「ASUS Dial」を備える。この機能を有効化すると、タッチパッド左上に配置されているダイヤルコントローラを操作することでさまざまな機能にアクセスできる。

■ 電力リミットを開放されたパワフルなRyzen AI 9 HX 370

 Ryzen AI 9 HX 370はTDP 28WのSoCなのだが、ASUS ProArt P16 H7606WIでは電力リミットのPPTが標準でLong=65W、Short=70Wに設定されている。以前テストしたASUS Zenbook S 16では、Ryzen AI 9 HX 370のPPTは最大でも33Wであり、ASUS ProArt P16 H7606WIのPPTがかなり高い数値であることが分かる。

 Cinebench 2024を実行してみたところ、GeForce RTX 4070 Laptop GPUを使用するGPUスコアで「11,150」、CPU(Multi Core)で「1,171」、CPU(Single Core)で「116」を記録した。電力リミットが影響するCPU(Multi Core)は、33W設定のASUS Zenbook S 16が記録した「967」を約21%も上回るものだ。

 ASUS ProArt P16 H7606WIは、3基の冷却ファンとThermal Grizzly製の液体金属TIMを採用することで最大120Wに対応した冷却システムを搭載しており、この高い電力リミットはその冷却性能を背景に設定されたものだ。

 Cinebench 2024の「CPU(Multi Core)」実行中のモニタリングデータをみてみると、テスト後半はCPU消費電力が約50Wで動作しているが、より高い電力で動作している5分以前でもCPU温度はリミット値の95℃を下回る最大90.2℃であり、ASUS ProArt P16 H7606WIの冷却システムが優れた性能を備えていることが分かる。

 3DMarkのCPU ProfileでもすべてのCPUコアを使用するMax threadsで10,000を超えるスコアを記録しており、ノートPCとは思えないほど高いマルチスレッド性能を発揮している。

 また、16 threads以下のスコアも優秀なものであり、すべてのCPUコアが稼働するエンコードやレンダリング処理などだけでなく、編集作業中に生じる中程度の負荷に対しても高いパフォーマンスを発揮することが期待できる。まさにクリエイター向けノートPCに相応しいCPU性能だ。

 dGPUであるGeForce RTX 4070 Laptop GPUのパフォーマンスも上々で、ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークではフルHD/1080pの最高品質設定で「15,043」を記録して最高評価の「非常に快適」を獲得した。3DMarkの各種ベンチマークテストでもノートPCとしては優秀なスコアを記録している。

 ASUS ProArt P16 H7606WIはゲーム用のPCというわけではないが、これだけ強力なGPUを搭載していれば処理にGPUを活用するアプリケーションや、クリエイター向けアプリケーションでも採用が増えつつある生成AIの利用でも良好なパフォーマンスが期待できる。

 ASUS ProArt P16 H7606WIは、16型の大型ノートPCとしては薄く軽い筐体設計を採用しながらも、独自の冷却システムによってRyzen AI 9 HX 370から強力なCPUパワーを引き出している。これにGeForce RTX 4070 Laptop GPUのGPUパワーまで備えていることで、クリエイター向けノートPCとして理想的な性能を獲得している。

 49万9,800円という価格は到底安いとは言えないが、並みのデスクトップPCの性能を凌駕するASUS ProArt P16 H7606WIのCPU/GPU性能は、旅行先や取材先でもパワフルなPCを使って作業したいクリエイターにとって価格相応の価値を見いだせるものだろう。