独断で選ぶ、筆者好みのハイエンドスピーカー(ゴン川野)

AI要約

東京国際オーディオショーは、高額な輸入オーディオ製品が並ぶイベントで、今年は夏に開催された。

イベントでは1億円超えのスピーカーだけでなく、1000万円以下の注目スピーカーも紹介された。

ブランドごとの特徴や製品詳細が述べられており、様々な価格帯のスピーカーが紹介されている。

独断で選ぶ、筆者好みのハイエンドスピーカー(ゴン川野)

毎年、高額の輸入オーディオ製品がずらりと並ぶ「Tokyo International Audio Show」。今年は夏の開催となった。

 2024東京インターナショナルオーディオショウでは海外ブランドが多いためか、例年ハイエンド製品が目立ちがちだ。今回は遂に1億円超えのまさに夢のまた夢のスピーカーが持ち込まれ鳴らされた。それもいいのだが、アンダー1000万円の気になるスピーカーを(新製品にとらわれず)筆者の好みで紹介していきたい。

 

デンマーク発、2つの新ブランドスピーカー

 PEAKはデンマークのスピーカーブランドで、DYNAUDIOの創業者、エーレン・ホルツ氏が開発責任者に名を連ねるハイエンドスピーカー専門メーカーである。伝統的な家具職人の技術を使ったエンクロージャーに先進技術を使い設計されたユニットを搭載する。

 

 これに対して、AUDIOVECTORはデンマークで最も長い歴史を持つスピーカーブランド。自社でユニット開発をおこなっている。音響特性だけでなく音楽性にもこだわり、木工技術を駆使したエンクロージャーを作っている。

 

エストニア共和国発の曲線美、estelon

 estelonは最高のスピーカーを生み出すために2010年に作られたハイエンドオーディオメーカーで、全ての製品はエンジニアのアフルレッド・ワシルコフ氏によって試聴がおこなわれ承認された製品のみが出荷されるという。不要な振動を排除するためエンクロージャーは平行面を持たない曲線的なデザインで、鉱石とポリマーを組み合わせた複合素材が使われる。また底面にウーハーを取り付けた密閉式を採用することで低域のレスポンスと空間の再現性を向上させている。価格286万円(ペア)。

 

スイスの精密機器、PIEGA

 PIEGAのスピーカーは時間軸の正確さに重きを置いて、ツイーターとミッドレンジにリボン式を使った同軸ドライバーを採用している。外側が中域、中心部が高域を再生する。厚さわずか0.02mmのアルミ振動板が色付けのない音をハイスピードで再生する。エンクロージャーは、3トンのアルミニウムの塊をプレス機械によって押し出し成型している。ハイエンドモデルのウーハーはアルミニウムの振動版にセラミックコーティングを施し、リボン式同軸ドライバーとのマッチングを図っている。トールボーイ型では同軸ドライバーを縦に並べてラインソースとすることで、より立体的な音場を再現する。

 

英国発の新進気鋭ブランド、NODEとCORD

 ユニークなデザインと独特の音で世界的に有名なのが英国ケント州にあるChord Electronicsである。ロバート・ワッツ氏の独自アルゴリズムをFPGAに書き込んだDAC、DAVEはFPGAとディスクリートDACの組み合わせで時間軸の厳密性にこだわった音を追求している。

 

 NODEは2018年にケンブリッジに誕生したばかりのブランドである。3年間の研究開発の結果、生まれたのが3Dプリンティングによって作られたスピーカーHYLIXAなのだ。卵の殻のような形状で継ぎ目のないステルス・キャビネットは音の放射を阻害しない形になっている。また、その内部は巻き貝の殻のように螺旋形のポートがありサイズを超える低音が再生できるという。3Way3スピーカーのフロアスタンディング型でスパイク付きのスタンドと一体化している。価格704万円(ペア)

 

文● ゴン川野 編集⚫︎HK/ASCII