楽天・三木谷会長が語るAI戦略の現在地。クレーム対応を90%削減するAIも社内展開

AI要約

楽天は新技術やサービスを体験できるイベントを開催中で、AI技術の展開や成果が中心に。

楽天のAI戦略はOpenAIとの協業と独自AI「Rakuten AI」の開発に注力。

AI製品の活用や生産性向上に向けた取り組みが進行中で、新しいAIエージェント機能も登場予定。

楽天・三木谷会長が語るAI戦略の現在地。クレーム対応を90%削減するAIも社内展開

楽天は8月1日~4日、同社の新技術やサービスを体験できる年次イベント「Rakuten Optimism 2024」を東京ビッグサイトで開催している。

8月1日のオープニングキーノートには、楽天グループの三木谷浩史会長が登壇し、同社が取り組む事業の方針について熱弁した。

前回のOptimism 2023では、OpenAIとの協業を発表していた。今年はそうした大きな発表はなかったが、話題の中心は、自社で取り組んできたAI技術とそれを使ったソリューションだった。

楽天のAI戦略は、大きく分けて2つある。

1つはOpenAIと協業し、OpenAIの先進的な技術やノウハウを自社に取り入れること。

OpenAIの最新APIの優先提供を受けつつ、OpenAIに対し楽天の持つビッグデータの一部や知見を提供する。

もう1つは、独自のLLM(大規模言語モデル)「Rakuten AI」を開発することだ。

特に70億パラメーターを持つ「Rakuten AI 7B」について三木谷氏は「(パラメーターとしては)小ぶりだが世界トップレベル。特に日本語の処理は高い位置にある」と自信をみせた。

楽天はこうしたAI技術を社内で活用し、その成果をパートナー企業に横展開していく方針。そのために「トリプル20」という指標を掲げている。

トリプル20とは、マーケティング、オペレーション、クライアントそれぞれの生産効率を20%向上させようというものだ。

基調講演では、生産性向上に寄与するAI製品についても、いくつか触れられた。

物流配送システムや、楽天モバイルにおける基地局設置業務、楽天市場でのセマンティック検索などすでに実施のものもある。

個人向けに今後登場するものとしては「楽天コンシェルジュ」と「楽天モバイルAIアシスタント2.0」という2つのAIエージェント機能がアナウンスされた。

いずれもチャット形式でAIと対話するサービスだが、違いがある。

楽天コンシェルジュは楽天市場やトラベル、ラクマ、証券などをサービス横断で好みのアイテムや知識を検索するものだ。

コンセプトデモでは日本語や英語の対応、写真や音声での入力といったマルチモーダル機能があることも示された。

もう1つの楽天モバイルAIアシスタント2.0は、楽天モバイルに特化したカスタマーサポート機能だ。

ユーザーの契約状況や利用履歴に基づき、おすすめの機種や追加の契約などを提案する。