竹中工務店「Starlink」など使い現場のデータ通信網を無線化--構築時間80%削減
竹中工務店は7月30日、建設現場におけるデータ通信網の完全無線化を実現し、構築時間を80％削減したことを発表した。
光ファイバーケーブルやLANケーブルの配線をなくし、Wi-Fi基地局の数を減らすことで、初めての無線ネットワーク構築が実現された。
無線化により、施工ロボットや現場管理アプリの接続がスムーズに行えるだけでなく、コスト削減や断線事故の防止などの利点がある。
竹中工務店は7月30日、建設現場におけるデータ通信網の完全無線化したと発表した。「Starlink」などを使い、データ通信網構築にかかる時間を80％削減する。
建設現場では、施工ロボットや現場管理アプリなどの機器群を接続するインターネットデータ通信網が必須だが、現場外からの光ファイバーケーブル配線、現場内でのLANケーブル配線、現場内各フロアでのWi-Fi基地局設置に大きな手間がかかっていたとのこと。
今回の実証実験では、光ファイバーケーブルとLANケーブルの配線をなくし、Wi-Fi基地局数と設置の手間を減らうことで、建設現場において初めてデータ通信網の完全無線化を実現した。
実証実験は「アクサ札幌PJ新築工事（仮称）」で実施され、建設中の建物屋上にStarlinkアンテナを設置して建設現場内に無線インターネット回線を導入。外部からの光ファイバーケーブルの配線を不要としたほか、パナソニック システムネットワークス開発研究所が手掛ける60GHz帯を用いた小型・軽量の無線通信装置である「ecdi」により、建設建物フロア間の無線ネットワーク構築。PHS周波数帯（1.9GHz）を利用するプライベートLTEである「sXGP（shared eXtended Global Platform）」を使用し、基地局数と設置にかかる手間を削減したという。
データ通信網の完全無線化は、工事の進捗に伴うケーブル盛り替え手間の削減、断線事故の防止にも寄与するとのこと。建物規模にもよるが、建築面積5000平方メートル、20階建、利用期間2年を想定した場合、LANケーブル配線を不要とし、基地局数と設置手間を減らすことによって、データ通信網構築にかかるコストを30%程度削減できると試算しているという。
今後は実用化に向けてこれらの無線技術をパッケージ化し、多くの建設現場へ普及・展開することで、建設業界全体のDXに貢献していくという。
