スターリンク活用で建設中の新幹線トンネル坑内通信を実現 清水建設とKDDI

AI要約

新幹線 渡島トンネルの建設工事で、Starlinkを活用した通信環境整備

トンネル内での通信環境構築に成功し、効率的な労働管理が期待される

通信エリアを拡大するためにSatellite Mobile Linkを活用し、設置コストを抑える

スターリンク活用で建設中の新幹線トンネル坑内通信を実現 清水建設とKDDI

北海道新幹線 渡島トンネルの建設工事において、Starlink(スターリンク)を活用したトンネル坑内での通信環境が整備された。

鉄道建設・運輸施設整備支援機構と清水建設、KDDIが協力して実現。清水建設が建設中の北海道新幹線 渡島トンネル(上二股工区)で、Starlinkを活用したauの通信エリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」をトンネル坑内で活用。4G LTEの通信エリア化を実現した。Satellite Mobile Linkでトンネル坑内の工事現場に通信環境を構築した事例は、国内初としている。

3者は2022年12月に、Satellite Mobile Linkで渡島トンネル“坑外”の工事現場の通信エリア化を行ない、労務・安全管理や情報伝達の効率化・即時性を実現した。一方、最前線であるトンネル坑内のセルラー通信のエリア化ができておらず、特に重大事故の発生リスクが高い切羽(トンネル掘削の最先端箇所)で外部への緊急連絡ができないことや、切羽掘削面の確認を坑外と行なうために、移動環境が悪い工事中の坑内を往復する必要があるなどの課題があったという。

従来、トンネル坑内の通信環境はWi-Fi機器で構築してきたが、大型工事機械による遮蔽影響で通信エリアが数十メートル程度と狭いことや、長いトンネル坑内全体をカバーするには、必要な機器数が多くなり、設置・メンテナンス作業が煩雑になっていた。また、切羽から200メートルの範囲には通信環境を構築することができなかったという。

今回、先行してトンネル坑外の通信エリア化に使用した設備から、光ケーブルで4G LTEのアンテナをトンネル坑内に延伸し、通信環境を構築。Satellite Mobile Linkによるトンネル坑内対策は、Wi-Fiによるエリア化と比較し、設置機器数が少なく、設置コストを1/3程度に抑えられることや、保守メンテナンス性が高いことから、本格導入に至ったという。

また、労務管理の効率化や施工管理・検査のDX化推進により労働時間の削減も見込まれるという。