アストロスケールの「ADRAS-J」、デブリの周回観測を初実施

AI要約

アストロスケールは商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」で初のデブリの周回観測を実施した。

ADRAS-JはJAXAのCRD2プロジェクトの一環として開発され、日本由来の巨大スペースデブリに接近観測を行うことを目的としている。

周回観測中に相対姿勢制御の異常が発生し、アボート機能により周回が停止されたが、問題は解決され、今後の対策が取られる予定。

アストロスケールの「ADRAS-J」、デブリの周回観測を初実施

アストロスケールは7月9日、商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」で一度目となるデブリの周回観測を6月19日に実施したと発表した。

 ADRAS-Jは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が推進する商業デブリ除去実証(Commercial Removal of Debris Demonstration:CRD2)の「フェーズ1」を受託する形でアストロスケールが開発を進め、2024年2月18日に打ち上げられた。

 同衛星の目的は、日本由来の巨大スペースデブリであるH-IIA上段への接近観測だ。デブリを除去するにはデブリに安全に近づく必要があり、その技術の実証を目指している。

 6月19日に実施した周回観測では、LiDARセンサーを用い、デブリから50mの距離を維持して周回しながらデブリを連続撮影した。なお、約120度周回したところでデブリとの相対姿勢制御の異常を検知。アボート機能を発動して自律的に周回を停止した。現在はデブリから一旦退避しているという。

 なお、衛星のデブリへ衝突は、デブリの軌道が複雑化したり、新たなデブリが発生する可能性があるため、絶対に避けなければならない。そのためのアボート機能が正常に動作したことは、今回の周回観測の成果となる。

 アボートによる機体への影響はなく、相対姿勢制御異常の原因も判明したという。今後は対策を施し、再度の接近に挑むとしている。

 これまでのADRAS-Jミッションの運用実績は下記の通り。

 ・2月18日:Rocket LabのElectronロケットにより打上げ ・2月22日:デブリへの接近を開始 ・4月9日:相対航法(AON)と近傍接近を開始 ・4月16日:相対航法(MMN)を開始 ・4月17日:デブリの後方数百mへの接近に成功 ・5月23日:デブリ後方約50mへ接近に成功 ・5月23日:定点観測(1回目)を実施 ・6月17日:定点観測(2回目)を実施 ・6月19日:周回観測(1回目)を実施 ←New