楽天モバイルの「プラチナバンド」は1.7GHz帯との“ベストミックス”で展開 5G速度も向上させ1000万回線の早期達成を目指す

AI要約

楽天モバイルがネットワークの2つのアップデートを発表。1つは5G通信品質の改善、もう1つはプラチナバンドの商用サービス開始。三木谷氏が700万回線突破を達成し、1000万回線の早期達成に向けた戦略を強調。

楽天モバイルのネットワーク品質が高く、Opensignalによる評価でもトップを獲得。5Gエリアの拡大に力を入れ、基地局のアップデートとソフトウェア更新により通信速度と安定性向上。

衛星通信サービス「スペースモバイル」も進展中で、2026年に提供開始予定。三木谷氏は日本全国にブロードバンドを普及させる意気込みを示す。

楽天モバイルの「プラチナバンド」は1.7GHz帯との“ベストミックス”で展開 5G速度も向上させ1000万回線の早期達成を目指す

 楽天モバイルが6月27日、同社のネットワークについて、2つのアップデートを発表した。1つが5G通信品質の改善、もう1つがプラチナバンドの商用サービス開始だ。同日に開催されたプレスカンファレンスで、楽天モバイルの三木谷浩史会長がネットワーク戦略について改めて説明した。

 三木谷氏には、携帯事業参入当初を振り返り、基地局、ユーザー、ノウハウがゼロからのスタートだったことを振り返る。2020年4月の本格サービス開始から約50カ月がたった2024年6月16日にはMNOサービスの契約数が700万を突破。2024年4月の650万回線突破から2カ月あまりで50万回線が増加し、3カ月の純増数が過去最高を記録した。

 サービス開始時からの累計契約数の推移を楽天カードと比較すると、楽天モバイルは約1.8倍のスピードで契約数が伸びているという。三木谷氏は「できるだけ早いタイミングで1000万回線に到達したい」と意気込みを語った。そして今回発表したネットワークのアップデートは、「1000万回線の早期達成に向けた最重要戦略」だと強調する。

 楽天モバイルは「つながりやすさも最強へ。」をうたい、ネットワーク品質が優れていることも訴求していく。通信キャリアのネットワーク品質を調査しているOpensignalが2024年4月に発表したレポートでは、5部門において、楽天モバイルが単独トップだった。また、楽天モバイル契約者に対して実施したアンケートによると、77.8%のユーザーが通信品質の改善を実感したと回答したという。「4Gと5Gとも、体感値でとても高い評価を得ている」と三木谷氏も手応えを話す。

 今後は5Gエリアの拡大に注力し、3.7GHz帯で運用しているSub6の基地局が、2024年5月末時点で1万7210局に達した。

 さらに、Sub6と共用している衛星通信との干渉条件が緩和されたことで、関東地方で既存5G基地局の出力を上げることが可能になり、2024年5月から年内をめどに、関東地方での5Gエリアを2024年1月比で1.6倍まで順次拡大していく。

 なお、東海地方と近畿地方は衛星通信との干渉がないため、2023年8月から2023年12月にかけて、東海地方は約1.7倍、近畿地方は約1.1倍、5Gエリアを拡大している。

 基地局にアップデートを掛けることでも通信品質を向上させている。無線アクセス装置のDU(分散ユニット)とCU(集約ユニット)のソフトウェアアップデートを実施することで、2024年6月に全国でMassive MIMOのビームフォーミング機能を拡張した。これによって基地局のキャパシティーが増強され、通信速度と安定性が大幅に向上したという。パラメーターを最適化することで、4Gと5Gのハンドオーバーをよりスムーズに行えるようにもなるとする。

 基地局の出力アップとソフトウェアアップデートにより、セルあたりの5Gトラフィックが約2.3倍になり、5Gにつながるユーザー数が約1.5倍に拡張されたという。東京都内では、5Gエリアにおける下り速度が50Mbpsの低速セルが約64%減少し、50Mbps~300Mbpsの高速セルが約106%上昇したデータも示した。

 「(データ通信を)使っている人も使っていない人も、基地局に近くて(通信が)速い人も速くない人も、どんどんスピードが上がってきている。より楽天モバイルは世界の最高水準に近づいている」(三木谷氏)

 米ASTと提携して国内での提供を目指している衛星通信サービス「スペースモバイル」の進展も順調だという。2024年5月には、ハワイと東京で衛星通信によるビデオ通話に成功した。スペースモバイルの提供は2026年を予定しており、「日本全国津々浦々、ブロードバンドが入る。面積カバー率100%を増やしていく」を三木谷氏は改めて意気込みを語った。