中田英寿氏代表の「日本食文化の祭典」が被災地・石川県酒造組合連合会に37万8313円寄付

AI要約

サッカー元日本代表MF中田英寿氏が主催した日本食文化の祭典「CRAFT SAKE WEEK 2024 at ROPPONGI HILLS」が、石川県金沢市の酒造組合に寄付を行った。

イベントでは、能登半島地震被災地を支援するため、義援金の募集や特製Tシャツの販売が行われた。

複数の蔵元が出店し、被災地の酒蔵や地域復興を応援する取り組みが行われた。

中田英寿氏代表の「日本食文化の祭典」が被災地・石川県酒造組合連合会に37万8313円寄付

 サッカー元日本代表MF中田英寿氏(47)がオーガナイザーを務め、4月18~29日まで東京・六本木ヒルズアリーナで開催された日本食文化の祭典「CRAFT SAKE WEEK 2024 at ROPPONGI HILLS」が、能登半島地震で被災した石川県金沢市の石川県酒造組合連合会に37万8313円を寄付した。イベントを主催した、同氏が代表を務める日本酒の販売促進事業を行うJAPAN CRAFT SAKE COMPANYが23日、発表した。

 「CRAFT SAKE WEEK」は16年にスタートし、コロナ禍による中断を経て今年が本イベントとしては6回目(22年の関連イベントを含めれば7回目)の開催となった。今回は、4月18日の初日を「頑張れ、北陸!! の日」と題した。元日に発生した能登半島地震で被災した、北陸の日本酒を飲んで酒蔵を応援し、その魅力と活力を再び輝かせ、震災からの復興への道を歩む酒蔵を応援するのが狙いだった。

 開催した12日間、会場では能登半島地震の被災地への義援金の寄付を呼びかけた。加えて、ライフスタイルブランド「UNDERSON UNDERSON」とともに会場限定のオリジナルスタッフTシャツを作成し、限定販売した。石川県かほく市に本社を置く繊維織物製造会社カジレーネの素材を生地に採用した、日本の伝統的な和紙を素材とした特許繊維素材「WASHIFABRIC」で制作し、取り組みをきっかけに復興への道をともに歩むことを目指した。そのTシャツの売り上げ全額と、会場で寄付を募った義援金の総額37万8313円を、石川県酒造組合連合会を通じて同県の酒蔵に寄付した。

 初日の「頑張れ、北陸!!の日」には、石川県白山市の「天狗舞・五凛」の車多酒造と「吉田蔵u」の吉田酒造店の2蔵をはじめ、 満寿泉(桝田酒造店・富山県)、有磯曙(澤酒造場・富山県)勝駒(清都酒造場・富山県)羽根屋(富美菊酒造・富山県)あべ(阿部酒造・新潟県)、天領盃(天領盃酒造・新潟県)〆張鶴(宮尾酒造・新潟県)翔空(ラグーンブリュワリー・新潟県)

 と富山、新潟両県を含めた、北信越の酒蔵10蔵が出店した。

 車多酒造の車多慶一郎専務(26)は「震度6弱で結構、揺れました。ただ、地盤が固かったので、200年以上、続く建物ですが大丈夫でした」と発生当時を振り返った。施設は無事だった一方で、酒造りに携わる蔵人の半数が能登から来ており、家が倒壊するなどして連絡が一時、取れなかったという。それでも、家族含め蔵人全員が無事で、2月初めに酒造りを再開。3月末に年度の、最後のもろみの仕込みを終える、甑倒し(こしきだおし)を完了することができた。

 車多酒造は、石川県で規模が2番目に大きい酒蔵で「私たちが先頭に立ってやっていかなければならない」と、酒蔵としてできる震災復興に取り組んでいる。まず、酒蔵の近くに移住を余儀なくされた自社の蔵人は、もともとは漁師、農家だったこともあり、改めて雇用契約を結んだ上で、寮を住居として一時提供している。さらに、被災した能登町の数馬酒造と珠洲市の櫻田酒造の、委託醸造もしているという。車多専務は「能登の酒蔵の復興は、5年はかかると言われています。長期的スパンでご支援していくと、蔵人と心を1つに決めています」と決意を語った。

 中田氏が16年からスタートした「CRAFT SAKE WEEK」には、これまでも出店してきたが「頑張れ、北陸!! の日」には、大きな意義を感じていた。車多専務は「震災は時間がたつと忘れられていってしまう…そういうものだと考えています。(イベントを)こういう場で行うと若年層、普段、足を運ばない人と接触できる、我々にとっては震災を思い出していただく良い機会。お酒を味わって、能登に思いをはせる、きっかけにしていただければ」と語っていた。

 ◆「CRAFT SAKE WEEK 2024 at ROPPONGI HILLS」 09年から日本全国47都道府県をめぐる旅をスタートし日本酒、農業、工芸を中心に、数多くの生産者の元を訪ねてきた中田氏が、400を超える酒蔵を訪問し、日本酒の奥深さと可能性を強く感じたことでプロデュース。日本全国から厳選された酒蔵が日替わりで出店し、蔵元が自ら日本酒を振る舞うことで、参加者は日本酒の選び方や楽しみ方を直接、聞くことができる。16年の東京・六本木を皮切りに福岡、福島、仙台などで開催。18年10月には、スペイン・バルセロナで開催された国際PR協会(IPRA)主催する国際PRアワードの最高峰「ゴールデン・ワールド・アワーズ」(GWA)でアート&エンターテインメント部門の最優秀賞を受賞。20年以降は新型コロナウイルスの感染拡大を受け開催が見送られてきたが、22年9月には東京・国立代々木競技場で開催された複合型都市型フェス「J-WAVE presents INSPIRE TOKYO~BEST MUSIC & MARKET~」で、3年4カ月ぶりに「CRAFT SAKE WEEKEND 2022 at INSPIRE TOKYO」を開催。23年には、六本木で本イベントとして約4年ぶりに開催し、厳選された酒蔵100蔵が集結。これまで延べ80万人以上が来場した。今回の会場デザインは「SAKA-MORI」をテーマに、建築家のクマタイチ氏が手がけた。

 ◆中田英寿(なかた・ひでとし)1977年(昭52)1月22日、山梨県甲府市生まれ。同県立韮崎高から95年にJリーグのベルマーレ平塚(現J1湘南ベルマーレ)に加入。98年にセリエA(イタリア)ペルージャに移籍し、ローマ、パルマ、ボローニャ、フィオレンティーナ、そしてプレミアリーグ(イングランド)ボルトンと渡り歩く。98年フランス、02年日韓、06年ドイツとワールドカップ(W杯)3大会に出場。ドイツ大会後の2006年(平18)7月3日に現役を引退。国際Aマッチ77試合出場11得点。オリンピックにも96年アトランタ、00年シドニーの2大会に出場。

 引退後は世界約90カ国、150以上の都市と日本全国を旅した。その中で、日本酒のおいしさと文化的可能性を強く感じたことから、15年に「株式会社JAPAN CRAFT SAKE COMPANY」を設立。日本酒開発やイベントコンサルティング、日本酒アプリ「Sakenomy」、日本酒のトレーサビリティーシステム「Sake Blockchain」の開発など幅広い活動を行っている。また、日本酒以外にも日本文化を国内外に紹介するため、旅の軌跡を紹介するウェブメディア「に・ほ・ん・も・の」や、厳選した作り手を紹介し多言語で出版される書籍「に・ほ・ん・も・の」(KADOKAWA)など、多くのメディアで情報を発信している。