芸人の“ドラマ進出”が好評なワケ 『光る君へ』出演中の金田哲が分析「すべった経験数が違う」

AI要約
はんにゃの金田哲が大河ドラマに初出演し、喜劇王を目指す思いを語る俳優業とお笑いタレント業の融合について言及お笑い舞台で培った経験が演技の場でも活かされる
芸人の“ドラマ進出”が好評なワケ 『光る君へ』出演中の金田哲が分析「すべった経験数が違う」

 お笑いコンビ・はんにゃ.の金田哲が、藤原斉信役で出演するNHKの大河ドラマ『光る君へ』(日曜午後8時)の取材会に出席し、大河ドラマ初出演の思いを語った。また、お笑いタレントとして活動しながら多数の映画やドラマに出演しているが、自身の中の俳優の仕事の位置づけにも言及。すると目標は「令和の喜劇王」と熱い思いを明かしてくれた。

 まずは今回の念願の大河ドラマに初出演がどんな経験となっているのか尋ねた。

「今はまだ途中なので必死ですが終わった時に泣いちゃうと思います。こんな経験をさせていただいて光栄。親戚一同、喜んでいますし親孝行もできたと思います。僕の人生の中の貴重な体験をさせてもらったと思います」

 夢がかなったあと今後の目標も気になる。

「時代劇が大好きなのですが、出演させていただいたドラマ『アシガール』で戦国時代、映画『燃えよ剣』で幕末、今は平安時代なので、また違う時代にも行ってみたいです。隣のスタジオで朝ドラの撮影をやっていて、朝ドラのスタッフさんとお話をさせていただきましたし……。いろんな時代にタイムスリップしてみたいです」

 お笑いコンビ・はんにゃ.として、お笑いタレントとして活躍する中、数多くのドラマや映画に俳優としても活動している。自身の中で俳優業はどんな位置づけなのか。

「二枚目俳優とか三枚目俳優と言いますが、一枚目というのはイギリスならコメディアンなんです。朝ドラに出演中の塚地武雅さんが昔、自虐的に『芸人くずれが俳優気取りですいません』と、あるベテラン俳優に言ったら、その方が、『元々、映像、映画はコメディアンのもの。不思議なことじゃないんです』と答えたそうです。それを聞き、僕もお笑いタレントとしてこの世界に入って、当初、演技なんてできないと思っていたのですが、なるほどチャプリンとかバスター・キートン、ハロルド・ロイドとか吉本興業の養成所で映像を見たなと。我々、コメディアンが映像の世界で演じることはいたって普通のことだと気が付いたというか……。ありがたいことに芸人も20年やらせていただき、途中で俳優もやらせていただくと、芸人と俳優の融合は、コメディアンの映像に近いところがあるのかなと思いました」

 もう一つ印象的な出来事があったという。

「喜劇王を探せといったような企画のテレビ番組に出演した時、酔っ払いを演じたら、むいている、そっちの道もあるんじゃないかと言われたんです。30代後半で芸人と俳優をやらせていただき、40代で喜劇王を目指すのも面白いと思いました。今回の大河出演の夢を絵馬に書いたり、言葉にしてかなったように言霊を使うとしたら『喜劇王に俺はなる』と言うことは、今後の目標としてはしっくりくると感じます。やりたいこととやるべきこと、自分にむいていることが一緒になってきています。だから『喜劇王に俺はなる』と言っていこうと思います」

 最近は、朝ドラ、大河ドラマに多くのお笑いタレントが出演し、俳優本業の共演者からは悔しいくらい演技がうまいと称賛の声が聞こえてくる。なぜうまいのか。

「お笑いタレントは多くのネタを自分で作り、演じ、演出も自分でやります。それでお客さんの前ですべると結構、心が壊れるくらいメンタルをやられます。だから防衛本能でしっかり考えて臨みます。芸人のすべった経験の強みが芝居の現場でも出ているのかなと思います」

 お笑いの舞台で培われた経験と度胸という意味かと思うが、具体的にすべる経験はどう生かされるのか。

「度胸と考えることと体感、僕の場合は特にすべった経験数。あれ? なぜ受けないとか、今の間(ま)はどこが違うのかとか、同じネタでも思うことがあります。僕は劇場のお笑いのステージに立って20年たちますが、毎日ネタをやっていて、ちょっとした間のずれ、言い回しが変わるだけで、こんなにウケなくなるんだというデータを異常と思われるほど持っています。人それぞれだと思いますが、失敗したり間がずれたりを気にしているから細かいところに神経がいくのかなと。お笑いタレントが芝居で神経が行き届くのはお笑いですべっているからです」

 喜劇王の具体的な姿が気になる。

「バラエティーで面白い企画をやったとしたら『面白かったよ』『見たよ』で終わるんです。映像作品になるとファンの人がすごい熱量で何度も見てくれます。コメディー作品を作る。お芝居もある映像作品。ジャパニーズコメディー映像作品を演者としてやっていくことが喜劇王に近いと考えています。ストーリー性もある哀愁もある作品を作ることが喜劇王に必要かと。ジャパニーズ喜劇王と言えば志村けんさんだと思っています。やってみないと分かりませんが新たな令和の喜劇王を目指して模索していきます」