妙義ステージが5年ぶりに復活!3ステージで開催「山人音楽祭」 初日公演最速レポート

AI要約

『山人音楽祭2024』はG-FREAK FACTORY主催のフェスで、2日間にわたり群馬県前橋市の日本トーターグリームドームで開催された。3つのステージで構成され、コロナ禍を経て復活した山人らしいフェスとなった。

初日の演出にはNAIKA MCが登場し、各アーティストが力強いパフォーマンスを披露し、観客を熱狂させた。バトンはG-FREAK FACTORYに受け渡され、フェスは盛り上がりを見せた。

記事では各出演アーティストのステージや感想が述べられ、初日の様子が詳細に報告されている。

妙義ステージが5年ぶりに復活!3ステージで開催「山人音楽祭」 初日公演最速レポート

G-FREAK FACTORY主催のフェス『山人音楽祭2024』が9月21日、22日の2デイズに渡り、地元・群馬県前橋市の日本トーターグリームドームで開催。今年は「赤城STAGE」、「榛名STAGE」に加えて、屋外の「妙義STAGE」が5年ぶりに復活し、合計3ステージで行われる。コロナ禍を経て、大自然に囲まれた”山人”らしいフェスの形が遂に戻って来た。

午前11時、「おはようございますー!」の挨拶と共にNAIKA MCが登場。スタンド席の場所取り、痴漢など諸注意を挟み、「妙義STAGE」復活についてNAIKA MCは「ようやくリセット、元の位置に戻せるようになった!」と告げた後、フリースタイルをブチかまし、「赤城STAGE」は大きな歓声に包まれた。

<打首獄門同好会>

11:10~ 赤城STAGE

フロアに袋詰めの「うまい棒」が配られ、観客ひとりひとりがうまい棒を掲げると、「赤城STAGE」初日のトップを飾ったのは打首獄門同好会だ。切れ味抜群の重低音が轟くと、まずは『デリシャスティック』でスタート。次の『筋肉マイフレンド』に入ると、スクリーンに筋肉の名前が映し出され、後半は観客総出でスクワット大会へと突入。何だ、この景色は!楽しすぎるではないか。「本日から3連休であるぞー! 険しかった平日の日々を、今日の楽しみの糧にする!」と大澤敦史(vo/g)がMCを入れた後、『はたらきたくない』に進むと、ノリのいい曲調に観客は大騒ぎ。それから後半は必殺の”食べ物シリーズ”が続く。メタル仕込みのラウドな演奏にシビれる『きのこたけのこ戦争』を皮切りに、マグロのバルーンが観客の頭上を泳ぐ『島国DNA』、そしてラストは『日本の米は世界一』と畳み掛け、お昼前という時間帯に身も心も胃袋も抉るサウンドを叩きつけてくれた。

<ENTH>

11:50~ 榛名STAGE

初日の榛名STAGEトップバッターは名古屋発の3ピース ENTH。3人の登場前から大きな手拍子が巻き起こって、観客は準備万端。3人もまた景気付けにアルコールを煽って「やっちゃおっか?」と『SLEEPWALK』で観客に爆音を食らわせる。30分のステージながら、セルフタイトルの最新作からライブのテッパン曲まで全9曲と大ボリューム。3人の鉄壁のグルーヴィがうねるオルタナなナンバーで観客の体を大きく揺らしたかと思えば、ダイナミックなビートが迸るハードコアではコブシを高く突き上げさせる。5年ぶりの山人音楽祭出演ということで、ステージもフロアもいつにも増して熱を帯びているのはまちがいない。「俺らも地元・名古屋でやっているから、ローカルのバンドとして、地元に誇りを持ってやっているかっこいいローカルのバンドに呼んでもらえるのは嬉しい」と、G-FREAK FACTORYへのリスペクトを伝えると、『ムーンレイカー』や『TEARS』などアンセミックな曲で榛名STAGEに大合唱を響かせた。

<HAWAIIAN6>

12:20~ 赤城STAGE

HAWAIIAN6のライブでは、初っ端からオーディエンスが熱狂し、ライブハウスと変わらない光景が広がった。YUTA(vo/g)は、体の角度を変えながらいろいろな方向を見るなど、観客のリアクションを嬉しそうに受け取っている。観客に触発され、バンドのアンサンブルは赤く激しく燃える。それでまた観客が感情を抑えきれなくなる、という熱狂の連鎖だ。HATANO(ds)が「G-FREAKもいいお年頃になってきたな。俺たちもそう。お前らもそうか? でも、忘れてないものもあるよな。初めてライブハウスに来た時の初期衝動!」と言葉を添えた『ETERNAL WISH, TWINKLE STAR』によって、メンバーも観客ももっと感情を引き出される。そして「子どもたちにも見せてやろうぜ。アホな大人もいるんだぞって。自由でいいんだって」と未来を思いながらラストへ。フロアに飛び込み客に支えられながら楽器を弾くGURE(b/cho)含め、みんないい笑顔だった。

<おとぼけビ~バ~>

13:00~ 榛名STAGE

続くアクトは、今年レッド・ホット・チリ・ペッパーズの北米ツアーに帯同し、また英・グランストンベリーフェスにも出演と大舞台を踏んでいるおとぼけビ~バ~。よよよしえ(g)による「アー・ユー・レディ?」の大絶叫でスタートしたステージは終始猛烈な勢いで、体の体にビリビリと電気を走らせるようなアンサンブルとあっこりん(vo)のど迫力のボーカルで、フロアを飲み込んでいく。ガレージ感溢れるそのサウンドは、ビザールでありながらとことんキャッチーで、ドカスカと重めのボディーブローを決められているのにもかかわらずスカッとポップ。いつの間にか4人の手のひらで転がされるようなライブだ。

「やってまいりました~。1階席~、アリーナ~、2階席~ 楽しんでいってちょうだい」とお茶目に挨拶をしつつ、『シルブプレ』でノイズをほとばしらせ、『ジジイ is waiting for my reaction』で中指を立てる。

そして、その爆音に感電し放心する観客を残し、疾風怒濤のステージを終えた。

<上州弾語組合>

13:00~ 妙義STAGE

三味線、エレキ・ギター、アコースティック・ギター、カホンを擁する男女6人組、上州弾語組合はインスト『梅音』で幕を開けた。「高校生の頃からG-FREAK FACTORYを観て育った」とメンバーが告げた後は『いのり』へ。オーガニックな音色を響かせ、柔らかな男性ボーカルも胸に沁み込んでくる。『ふわふわ』では女性ボーカルにスイッチし、ソウルフルかつ透明度の声色に観客はクラップで楽曲に参加していた。それから自分の内面と向き合ったという『トゥーレイト』をプレイ。男女ボーカル/コーラスの魅力を活かしながら、どこまでもアコースティックの質感を大事にした曲調は素晴らしい限りだ。

後半は繊細な歌心で迫る『うたうたう』を経て、「(上州弾語組合は)コロナ禍に茂木さんが言い出しっぺで始まった」と説明を加え、ラストは男女ボーカルによるマイク・リレーでソウル・フラワー・ユニオンの名曲『満月の夕』を披露。トンボが飛び交う中、観客は自然と体を揺らし、妙義STAGEはピースフルな空気に包まれて大団円を迎えた。

<The BONEZ>

13:30~ 赤城STAGE

The BONEZは意外にも「山人音楽祭」初出演だ。開演前、「ようやく出れたんで、ぶちかまします!」と言いながら拳を合わせていたように、バンドは気合い十分。『New Original』では、強烈なサウンドとJESSE(vo/g)のスクリームがWOD発生のきっかけに。さらにJESSEはフロアに突入し、「もっといこうぜ!」「かかってこい!」と投げかけながら、自ら渦の中心になりに行く。JESSEの人間力によって鮮烈なシーンが次々と生まれる中、6曲目はDragon AshのKjとのコラボ、『Straight Up feat. Kj』だ。JESSEとKjがバトルするように歌う前半も、観客がスマホライトを点けてMVを思い出させる光景を作った後半もアツい。Kjとの対峙もあったからか、ライブ終了後には全てを出しきったJESSEはステージに倒れ込んでいた。KOKI(g)が手を差し伸べて起き上がらせたあと、メンバーは肩を組んで挨拶。4人とも、とてもいい笑顔だった。

<アイカワヒトミ>

14:00~ 妙義STAGE

開口一番に「アイカワヒトミ始めます、よろしくお願いします!」とアイカワは挨拶。オープナー『ノラネコの唄』の曲中に「山人、来たよ!」と言葉を入れ、妙義STAGEでパフォーマンスする喜びを心から噛み締めているようであった。1曲目を終えた後、観客から自然と拍手が起きると、「山人が私を受け入れてくれている!」とこぼす彼女。群馬発のシンガーソングライターである彼女にとって、『山人音楽祭』は出たかったフェスだったに違いない。その実力は確かなものがあり、アイドル並みのルックスでアコギ片手に、繊細かつ伸びやかな歌声を解き放つ。また、裏声を交えたハイトーン・ボイスは後ろ髪を引かれる切なさに溢れており、ここに集まった多くの人たちが聴き入っていた。

「私は今年6月に上京して、今、浅草の下町の女として生きているんだけど、いい女だろ(笑)? 群馬ありがとう、大好きだよ!」と言うと、「おかえりー!」と観客から声が上がった。そんなやり取りを経て、後半に「ほんとうのきもち」を披露。演奏後、「来年は榛名(STAGE)辺りで・・・はははは、会えたらいいですね。それで赤い山(赤城STAGE)に登れたら」と内に秘めた野心をのぞかせ、妙義STAGEを後にした。

<SIX LOUNGE>

14:10~ 榛名STAGE

咆哮を上げるようにギターを響かせるとスリリングに加速するロックンロール『ナイトタイマー』で幕を開けたSIX LOUNGEのステージ。続く『スピード』では砂埃を巻き上げて爆走するような(室内だが)エネルギッシュなアンサンブルで観客を翻弄する。「やっと、やっと、やっと久しぶりに呼んでくれました、すごいドキドキしてるので、この感じを全部出して帰ります」というヤマグチユウモリ(g/vo)のMCから、リリースしたばかりの新曲『Madness』を披露すると、ここからはダンス&シンガロングタイムに突入してフロアの熱を上げていく。シンプルな3ピースで奏でられるロックンロールだが、そのアンサンブルは分厚く濃厚。そこに滲む哀愁感が艶っぽいボーカルが乗って、観客の興奮を引っ張り上げる。「G-FREAK FACTORYに愛を込めて」と放ったドラマティックな『メリールー』。久々の山人のステージに愛情を刻みつけていった。

<サンボマスター>

14:40~ 赤城STAGE

「甲子園で優勝できるのは1校。オリンピックで優勝できるのは1人。だけどサンボマスターのライブでは、ここにいる全員、優勝させるわけですよ!」 サンボマスターのライブが始まると、力強い3ピースサウンドとともに、山口隆(vo/g)の熱い言葉が赤城STAGEに響いた。彼らはラブ&ピースを歌う『世界はそれを愛と呼ぶんだぜ』、7月にリリースした新曲『自分自身』などを披露。山口は、「山人で伝説のライブ、できる人ー!」と挙手を促すなど、歌の合間にも様々な言葉を投げかけることで、今この場所にいるひとりひとりが当事者で、“伝説のライブ”を作るのに欠かせない存在だと伝え続ける。「言いたいことは2つ。1つは、お前には未来があるってこと。もう1つは、お前がこの世にいた方がいいってこと!」。そんなメッセージを歌いながら、赤城STAGEのバトンを次へ繋ぐとともに、観客ひとりひとりの心に炎を灯した。

<佐藤タイジ>

15:00~ 妙義STAGE

持ち時間30分ではとても足りない。ステージ袖でG-FREAK FACTORYの茂木(vo)、原田(g)が前のめり状態で見守る中、結局少しだけ時間オーバーしたけれど、佐藤タイジの”全身音楽家”っぷりがここでも大爆発していた。

「どうもどうも佐藤タイジです。THEATRE BROOKです、今年30周年なんですよ! 聴いてほしいんだよ、THEATRE史上、最高傑作!」と佐藤。ある日妻から「パパ、私をアムスに連れていって!」と言われ、その言葉の響きにインスピレーションを得て、新曲ができたという。その流れで『私をアムスに連れていって』が始まり、アコギ片手にソウルフルな歌声で観客を魅了し続ける。引き続きTHEATRE BROOKの『白クマとボノボ』に移ると、リズミックにギターを掻き鳴らし、即興で曲をどんどん発展させていく手腕もさすが。

そして、ここで毎年開催している佐藤タイジ企画による『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』(*今年はお休み)に触れて、「この国を再生エネルギー100にする!」と宣言。さらに来年はアフリカで同フェスを開催するため、クラウドファンディングを募るそうだ。ラストはプリンスのカヴァー『パープルレイン』、『ありったけの愛』と駆け抜け、圧巻の歌声とギター捌きで観客の魂を根こそぎ奪い去った。

<MOROHA>

15:20~ 榛名STAGE

サウンドチェック時から全力で観客を沸かせたMOROHA。「アコギ1本とマイク1本で、爆音のバンドぜんぶぶっ壊しにきました」。そういったアフロ(MC)は観客に勝負をしようぜといって『俺のがヤバイ』でボルテージを上げていく。続く『革命』ではUK(a.gt)繊細なアルペジオにのせ、友に語るように、目の前の観客が本当にあいづちを打ってしまうほどリアルな温度で言葉を紡ぐ。かと思えば『やめるなら今だ』では呼吸も忘れるくらいに鬼気迫る感情が流れ込んでくる。ステージとフロアが一心同体の感覚だ。最後にアフロは、2016年の山人音楽祭に出演したときにMCバトルに乱入したこと、自分を刻みたいという思いだけで突っ走って反省をしたことを語った。もう山人には出られないと思いながらも、「俺たちは俺たちでやるんだという気持ちでやってきて今日のステージにつながったと思う、まちがったことをまちがいじゃなかった日々に変えられたんじゃないか」と真摯に語った。ステージにはそのときのことを知るG-FREAK FACTORY・茂木も登場しアフロを抱き締めると、観客から温かな拍手が起きた。最後の曲『三文銭』に、その2016年から重ねてきた死に物狂いの時間を詰め込み、全身全霊の叫びで再び山人音楽祭にMOROHAの名を刻みつけた。

<Dragon Ash>

15:50~ 赤城STAGE

初日の赤城STAGE、5組目はDragon Ash。1曲目は『Entertain』で、Kj(vo/g)が<さあ 逆襲の時だ ほら/その声を僕に 聴かせて>と歌うと、観客のシンガロングが続いた。 変容しながらも意思を持って続けることでコロナ禍を越えた『山人音楽祭』と、フェスをともに作ってきたオーディエンスの思いが音楽になって解放されている。『百合の咲く場所で』では、Kjが「サークルピット、よく見えてんぞ! ライブハウスはお前らのもんだ!」と声を掛け、リスペクトを示す一幕も。バンドサウンドと観客の歌声によって形作られる『Fantasista』からも、同じ文化を愛する者同士の信頼関係が垣間見えた。なお、Dragon AshのサポートベーシストでもあるTheBONEZのT$UYO$HIは、本日2ステージ。と思いきや、『Fantasista』ではJESSEまで登場する熱い展開だ。特別なシーンを経て、Kjから「どう? ロックフェス楽しい?」と尋ねられたらイエスしか答えはない。もちろんフロアは歓声の嵐だ。

<山人MCバトル>

16:00~ 妙義STAGE

『山人音楽祭』内の名物コーナー、山人MCバトルが5年ぶりに妙義STAGEに帰ってきた。しかも今回はMCバトルのさらなる発展のため、戦極MCバトルとコラボが実現。始まる前から大勢の観客がこの場に集まり、期待値の高さがうかがえた。しかもオープニングマッチとして、司会を務めるNAIKA MC×茂木(G-FREAK FACTORY)の対戦が急遽決定。これが予想以上の好バトルで場は沸騰。対戦後に「二度とやりたくねぇ!バンドマンがやることじゃない(苦笑)」と茂木は零していたけれど、また観たい!と思わせるスリリングなバトルを展開してくれた。

さあ、ここから本選に突入だ。R da Masta(DJ)がビートを提供する中、ミメイ、Bendy、歩歩、Shamis、Armadillo、MC☆ニガリ aka 赤い稲妻、MAKA、小池潔宗、ピラフ星人、Amateras、DOTAMA、アイカワヒトミの総勢12組のバトルを繰り広げられる。今日、妙義STAGEに出たばかりのシンガーソングライターのアイカワとDOTAMAの対戦があったりと、ここでしか観ることができないレアな組み合わせに観客も大興奮。決勝にはMC☆ニガリ aka 赤い稲妻とDOTAMAが勝ち上がり、山人×戦極の初代王者に輝いたのはDOTAMA。圧倒的なスキルを魅せつけ、5年ぶりに復活した山人バトルは大いに盛り上がった。来年もぜひ妙義STAGEで開催してほしい!と多くの人が思ったことだろう。

<プッシュプルポット>

16:30~ 榛名STAGE

「一緒に遊ぼうぜ!」と元気に呼びかけたのは、『山人音楽祭』初登場の石川県金沢市発のプッシュプルポット。「ジャンプできるか」とまずはビートに乗せてしっかりとフロアを温めると、陽性のロックチューン『Fine!!』で早くも観客の笑顔を広げていく。2コーラス目には一緒に歌えるようなキャッチーなメロディと、メンバーの大合唱で明るさを増していく歌、そして晴れやかなバンド・アンサンブルを持ったプッシュプルポットの曲。親しみやすさ抜群だ。G-FREAK FACTORYとは2年前にイベントで一緒になったことがあったが、そのときはしゃべっていなかったと語る山口大貴(vo/g)。そして茂木になぜ山人に呼んでもらえたのか聞いたところ「俺がいちファンだから」という答えをもらったという。じつにシンプル。だがものの数分で初見の人を味方につけていくこのライブを見れば、そんな単純明快な思いが湧くのも当然だろう。一方では山口にとって大事な曲だという『13歳の夜』を噛み締めるように歌う、緩急のあるステージも魅力だ。「山人に馴染んできたぜ、俺たち。来年も期待大だね」と目を見合わせた4人。初登場にして、ライブバンドとして確実に手応えを掴んだようだ。

<ザ・クロマニヨンズ>

17:00~ 赤城STAGE

ここで、観客だけでなく出演者も憧れるレジェンドバンド、ザ・クロマニヨンズが登場。ライブは、甲本ヒロト(vo)の「オーライ、ロックンロール!」という掛け声からスタートした。まずは『クロマニヨン・ストンプ』を筆頭に、一気に4曲。「クロマニヨンズ、おんなじような曲ばっかりよ。どれ聴いても楽しいよ」とは甲本の言葉だが、エネルギッシュかつストレートなパンクサウンドが、この場に集まるバンドラバーに、原始的快楽と清々しい高揚をもたらしている。楽曲同様、「みんなは自由でどこにでも行けるのに、ここに来てくれてありがとう! そして僕らもここを選びました。最後まで楽しんでいきましょう」というMCも、シンプルだが深みがあり印象的だった。久々のライブだと話していたメンバーが笑顔で演奏するなか、観客もまた、まっさらな心で音楽を楽しんでいて、甲本は「素晴らしい、素晴らしい」と頷いている。終始爽やかなムードに満ちたライブで、終演後、次のステージに向かう足取りも自然と軽くなった。

<ゆってぃ&バリ3TV>

17:30~ 妙義STAGE

妙義STAGEのトリは、お笑い芸人・ゆってぃとライオンヘッド モジャが多大なる影響を受けた90年代を語り尽くすYouTube番組「バリ3TV」プレゼンツによるDJで締め括った。まずはゆってぃが「ちっちゃい事は気にすんな!それ!わかちこ!わかちこ!」とひとネタを挟んだ後、いざDJタイムへ。

THE SPECIALSの『Little Bitch』、FRUITYの『Summer Camp』、KEMURIの『P.M.A(Positive Mental Attitude)』、THE OFFSPRINGの『What Happened To You』、RANCIDの『Time Bomb』と続き、「90年代じゃないけど、流したい!」とゆってぃが言うと、東京スカパラダイスオーケストラの『¡Dale Dale! ~ダレ・ダレ!~ feat.チバユウスケ』へ。すると、芝生の上で笑顔でスカダンスに興じる観客がみるみると増えていった。

それからMONGOL800の『あなたに』、BEAT CRUSADERSの『HIT IN THE USA』、湘南乃風の『睡蓮花』、Hi-STANDARDの『New Life』、最後にヤバイTシャツ屋さんの『あつまれ!パーティーピーポー』が流れるや、妙義STAGEは夜空のダンスホール会場へと様変わり。余力を残さず、最後まで全力で踊り尽くす観客の姿が印象的であった。

<Age Factory>

17:40~ 榛名STAGE

重量感と鋭い切れ味がある4つ打ちのキックに、観客の力強い手拍子が重なってボルテージを上げていったAge Factoryのステージ。前半はよりダンサブルに、そしてより攻撃的なサウンドで、フロアの興奮の濃度を上げる。「全員、踊れ!」と言って突入した『Party night in summer dream』では、エフェクティブなギターがソリッドなビートやシャウトボーカルを際立てる。「また来れました、山人。G-FREAK FACTORY呼んでくれてありがとう。いろんなバンドが出ているけど、俺らにしかできないフロアにしたい」とMCした清水英介(vo/g)は、さらに「もっといけるだろ」と『Shadow』で力強く叫びをあげた。強靭な2ビートが加速するとともに観客の熱量が上がっていく。フロアから上がる“もっと来い”の声に、「よし、行こうか」と不敵に笑み投下した『CLOSE EYE』のパワーは抜群。重量感を増したリフと縦横無尽なビート、射抜くようなボーカルでフロアを沸騰させる。後半はバンドの持つ歌の強さで観客をひとつに束ね、『TOMBO』ではシンガロングを起こし、『SONGS』ではアグレッシヴなアンサンブルにも歌心を宿す。残響すらも甘美な、痺れるようなステージだ。

<MAN WITH A MISSION>

18:10~ 赤城STAGE

初日の出演者はあと3組。赤城STAGEに集まった観客が待っているのは、MAN WITH A MISSIONだ。Jean-Ken Johnny(g/vo/raps)が「楽シンデルカ、山人! 盛リ上ガッテルカ、山人!」と尋ねれば、フロアから大音量の「イェーイ!」が返ってきたように、観客は期待しまくっている。しかし長い付き合いのG-FREAK FACTORYから重要なポジションを託された、つまり仲間の信頼を背負ったマンウィズは強い。気合い漲るプレイで、こちらの期待を優に上回る頼もしさを見せた。『INTO THE DEEP』『Emotions』『Raise your flag』ときて、『Hey Now』では観客が一旦しゃがんでから、一斉ジャンプの大噴火。そしてラストは鉄板の『FLY AGAIN』で大盛り上がり。「コノアトハFOMAREとG-FREAK。群馬ヲ愛シテ、群馬ヲ育ンデ、群馬ヲ発信スル超絶カッコイイバンドサンガ控エテオリマス。2日間、群馬ガ誇ル最高ノフェスヲ楽シンデクダサイ」と2組へのリスペクトとともに、バトンを繋いだ。

<FOMARE>

18:50~ 榛名STAGE

1日目の榛名STAGEのトリを任されたのは、ここ群馬・高崎出身の3ピースFOMARE。「山人音楽祭、今年も開催おめでとうございます、ローカルバンドの最高傑作G-FREAK FACTORY──だけじゃないぜ、FOMARE!」と高らかに宣言し『夕暮れ』でスタートしたライブは、終始観客の大きな歌声が響きわたるこれぞFOMAREというステージとなった。3ピースのダイナミックなアンサンブルが冴えるメロディック曲でのシンガロングから、待ってましたとばかりに観客の大合唱がはじまる『愛する人』など、観客の歌声はどんどんと大きくなってボーカル・アマダシンスケ(vo/b)の声をも飲み込むように響く。会場が、一体感と高揚感で包まれ、3人の演奏もまた熱を帯びる。この山人ではトップとトリしかやっていないというFOMAREだが、このフロアの熱やバンドから迸るエネルギーに触れると、そうしたステージを任される理由もわかる。「ENTHからはじまってバトンをつないで、あとはこの大きなバトンを赤城STAGEのG-FREAK FACTORYに俺たちで渡しにいきましょう」(アマダ)。その言葉に続いた『Lani』は一際大きな歌声となって、赤城STAGEへと轟かせるパワーとなった。

<G-FREAK FACTORY>

19:20~ 赤城STAGE

いよいよG-FREAK FACTORYが初日を締め括る。全出演者が繋いだバトンを受け取り、また、「群馬県という辺鄙な街で27年間、浮くことも、沈むことも、やめることも、繋ぐことも、続けることも、全部見てきた」という言葉の通り、バンド人生を懸けてステージに立つ『山人音楽祭』におけるG-FREAK FACTORYは本当に凄まじい。観客は熱狂し、フロアからは時に雄叫びのような歓声が上がった。

MCでは、コロナ禍で開催中止や規模縮小を経験したことから「フェスやることは簡単ではない」と実感したこと、今年は5年ぶりに妙義STAGEとMAEBASHI PARK PARTY(屋外飲食エリア)の復活が叶ったことが語られた。「ちっちぇ火かもしれないけど、ずっと消えないで、燃やしてきた。そこに薪をくべて、風を送って、自分たちで燃えることができなかったら助けに来てくれて、火を守ってくれる人がいた。人を疑わなきゃいけちゃいけないような数年間を経て、やっと、信じられる」と茂木洋晃(vo)。一方、悔しいことに今日は痴漢被害の報告が5件あったという。

「信じることから始めようという時代に入っていったのにさ……。なめられたもんだ。同時に、俺たちの音楽が足りねえ。あとG-FREAKが少し、そして明日がある。この中だけは信じ合える空間にしたいです。どうかよろしくお願いします」

魂の『Fire』で自らの言葉に説得力を持たせると、『ダディ・ダーリン』では観客がスマホライトを点け、光の海が広がった。その景色を受け止めながら、さらに茂木は言葉を連ねる。「これから、もっと信じあわなきゃいけない時代が来ます。山人音楽祭、全ての人を信じます。一緒に歌おう」。表面的な美しさでは意味がない。この空間を真に美しく、素晴らしいものにすることができるのは他でもない、フェスに参加している私たち自身だ。

“群馬の兄弟”ことNAIKA MCとのコラボを含む計9曲を披露して、G-FREAK FACTORYのライブは終了した。そして『山人音楽祭2024』はDAY2へと続いていく。

Text:蜂須賀ちなみ(赤城)、吉羽さおり(榛名)、荒金良介(妙義/赤城・打首獄門同好会)

Photo:HayachiN(赤城)、Kazuya Kohsaka(榛名)、タマイシンゴ(妙義)、柴田恵理(ザ・クロマニヨンズ)

<公演情報>

『山人音楽祭2024』

2024年9月21日(土) 群馬・日本トーターグリーンドーム前橋

【セットリスト】

<赤城>

■打首獄門同好会

01.デリシャスティック

02.筋肉マイフレンド

03.BUNBUN SUIBUN

04.部長ぷっちょどう?

05.はたらきたくない

06.カモン栄一

07.きのこたけのこ戦争

08.島国DNA

09.日本の米は世界一

■HAWAIIAN6

01.MAGIC

02.THE LIGHTNING

03.I BELIEVE

04.BURN

05.NO AGE

06.HAZE

07.ETERNAL WISH, TWINKLE STAR

08.RAINBOW, RAINBOW

09.STAR FALLS ON OUR HANDS TONIGHT

10.BRAND NEW DAWN

11.PROMISE

■The BONEZ

01.Love song [Intro-long ver]

02.Rusted Car

03.We are The BONEZ

04.New Original

05.Adam & Eve

06.Straight Up feat. Kj

07.Thread&Needle

08.SUNTOWN

■サンボマスター

01.ヒューマニティ!

02.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ

03.⾃分⾃⾝

04.Future is Yours

05.できっこないを やらなくちゃ

06.花束

■Dragon Ash

01.Entertain

02.Mix It Up

03.Fly Over feat.T$UYO$HI

04.ROCKET DIVE

05.For divers area

06.百合の咲く場所で

07.Fantasista

08.New Era

09.Viva la revolution

■MAN WITH A MISSION

01.INTO THE DEEP

02.Emotions

03.Raise your flag

04.Hey Now

05.絆ノ奇跡

06.Seven Deadly Sins

07.When My Devil Rises

08.FLY AGAIN

■G-FREAK FACTORY

01.jam

02.SOMATO

03.乞え~KOE~

04.YAMA

05.Fire

06.Too oLD To KNoW

07.ダディ・ダーリン

08.GOOD OLD SHINY DAYS

EN1.KTKZ TO TAIYO feat NAIKA MC

EN2.アメイロ

<榛名>

■おとぼけビ~バ~

01.ヤキトリ

02.あきまへんか

03.ハートに⽕をつけたならばちゃんと消して帰って

04.シルブプレ

05.ラブイズショート

06.いまさらわたしに話ってなんえ

07.ジジイ is waiting for my reaction

08.アイドンビリーブマイ⺟性

09.あなたとの恋、歌にしてJASRAC

10.携帯⾒てしまいました

11.サラダ取り分けませんことよ

12.リーブミーアローンやっぱさっきのなしでステイウイズミ

13.孤独死こわい

14.⼀級品の間男

15.あなたわたし抱いたあとよめのめし

■SIX LOUNGE

01.ナイトタイマー

02.スピード

03.Madness

04.DO DO IN THE BOOM BOOM

05.トラッシュ

06.ダーリン・ダーリン

07.メリールー

■MOROHA

01.俺のがヤバイ

02.⾰命

03.愛してる

04.やめるなら今だ

05.三⽂銭

■プッシュプルポット

01.Fine!!

02.バカやろう

03.Unity

04.笑って

05.13歳の夜

06.⽣きていけ

07.最終列⾞

■Age Factory

01.Blood in blue

02.Party night in summer dream

03.RIVER

04.Shadow

05.CLOSE EYE

06.向日葵

07.TONBO

08.SONGS

■FOMARE

01.⼣暮れ

02.Frozen

03.SONG

04.愛する⼈

05.僕と夜明け

06.新しい歌

07.Lani

08.continue

<妙義>

■上州弾語組合

01.梅音

02.いのり

03.ふわふわ

04.トゥーレイト

05.うたうたう

06.満月の夕べ

■アイカワヒトミ

01.ノラネコの唄

02.by your side

03.9月の空

04.ほんとのきもち

05.pinkie

■佐藤タイジ

01.私をアムスに連れていって

02.白クマとボノボ

03.パープルレイン

04.ありったけの愛