「あなたは異常」前妻の主張に唖然…50代新聞記者が離婚した理由

AI要約

加古川学さん(仮名、51歳)は新聞社の文化部記者。3年前に再婚した妻・茜さん(仮名、34歳)との間に、間もなく2歳になる男の子がいる。

加古川さんは長年、「子供はいらない」と強く考えていたが、父親の影響からそう感じていた。父に対する同族嫌悪や自分の将来を重ね合わせ、「子供を持つことは絶対に嫌だ」と心に誓っていた。

自分が父親のようになりたくないとの思いとは裏腹に、再婚した現妻との間に子供が生まれたことで、加古川さんの人生は大きく変化した。

「あなたは異常」前妻の主張に唖然…50代新聞記者が離婚した理由

子を持つ男親に、親になったことによる生活・自意識・人生観の変化を、匿名で赤裸々に独白してもらうルポルタージュ連載「ぼくたち、親になる」。聞き手は、離婚男性の匿名インタビュー集『ぼくたちの離婚』(角川新書)の著者であり、自身にも2歳の子供がいる稲田豊史氏。

第13回は、新聞記者の50代男性。再婚した現妻との間に子供を授かったが、長年「子供はいらない」と強く思っていたという。

加古川学さん(仮名、51歳)は新聞社の文化部記者。3年前に再婚した妻・茜さん(仮名、34歳)との間に、間もなく2歳になる男の子がいる。

ただ、加古川さんは長い間、かなり強く「子供はいらない」という考えだった。実際、10年以上も夫婦生活を共にした前妻とは、「子供は作らない」という前提で籍を入れた経緯がある。加古川さんの人生はいつ、どのようにして大きく方向転換したのか。

※以下、加古川さんの語り

もともと、かなり自覚的に「子供はいらない」と思っている人間でした。自分の中に「父親」のロールモデルがなかったからです。もっと言うと、「大人の男」がどういうものであるかという認識ができないまま、大人になりました。

それは、明らかに父のせいです。

僕は母の背中を見て育ちました。母は結婚しても仕事を辞めず、今でも小さな会社を経営しています。面倒見が良く、親分肌で、仕事もできる。尊敬できる人です。

一方の父は、昔からまったく尊敬できませんでした。団塊世代の地方公務員。いつも自分が正しいと思っていて、よく母に議論をふっかける。人の話を聞かない。子供は一切褒めない。僕と弟の出来を比べる。

何よりたちが悪かったのは、「自分は同世代と比べて、考え方が進歩的である」という優越的な意識が露骨だったことです。

父はその世代には珍しく、結婚したら仕事を辞めろと母には言わなかったし、子供たちには「自立的であれ」と繰り返していました。でも僕に言わせれば、同時代なりの古い考え方の人よりも、「自分は進歩的である」という意識の人のほうが、その頑迷さが見るに堪えない。哀れですらある。その典型が父でした。

だから、全然好きじゃなかったんですよ。父のこと。

ただ悲しいことに、僕は小さいころから、父に嫌なくらい似ているとも感じていました。要は同族嫌悪です。

だから僕、10代のころには「自分は絶対に子供を持ちたくないし、できれば結婚もしたくない」と思っていました。子供なんて持ってしまえば、自分もきっと父みたいになる。あんな父親になるのは絶対に嫌だと心に誓っていました。

世の中には、「自分の親みたいにはならないぞ」と決意して、果敢に家庭を作られる方もいますが、僕にその自信はなかったです。血には抗えないと諦めていたので。