大鶴義丹「なんでそんなに一生懸命やってるんだろう」と思っていた400年前の世界的名作、年齢を重ねて気づいた変化

AI要約

1990年代に活躍し名を広めた大鶴義丹。現在はアングラ演劇やシェイクスピア劇に挑戦中で、今年は10本の舞台に立つ予定。最近はシェイクスピアの作品も楽しんでおり、演劇の面白さを再発見している。

役者経験を積むほどに芝居が面白くなると語る大鶴さん。秋には唐十郎の戯曲『ジャガーの眼』で主演を控えており、長年のパートナーと共に挑戦することを楽しみにしている。

役者としての経験や人生経験が作品に新たな魅力を与えると感じる大鶴さんは、多彩な舞台活動を通じて、自身の芸術の可能性を広げている。

大鶴義丹「なんでそんなに一生懸命やってるんだろう」と思っていた400年前の世界的名作、年齢を重ねて気づいた変化

 1990年代、ドラマ『逢いたい時にあなたはいない・・・』『悪魔のKISS』などで活躍し、名を広めた大鶴義丹。小説家や映画監督としての顔も持ち、現在は、主戦場を舞台に置く大鶴さんは、紅テントを象徴とする「状況劇場」で知られ、今年の5月に逝去したアングラ演劇の元祖・唐十郎を父に、アングラの女王と呼ばれ、ドラマ『3年B組金八先生』でも知られた李麗仙を母に持つ。そんな大鶴さんの語るTHE CHANGEとはーー。【第2回/全5回】

 昨年、6本の舞台に立った大鶴さん。それでも十分多作だが、今年はなんと10本を予定。目前に控える、横内正さん演出、主演のシェイクスピア劇『リア王2024』は昨年の舞台を超える、7本目にあたる。

――オールバニ公爵役ですね。

「(老王リアを裏切る)一番悪い長女の、夫役です。シェイクスピアって、どの作品も、現代の出来事として考えられるのがスゴイんですよね。だって1600年とかに書かれてるわけじゃないですか。その時代のものを、そのまま今の会社員の社会に持ち込める。まったく同じ出来事ではなくても、人間関係は同じですよね。だから、やっていても古い時代の芝居をしている感じがあまりしないから不思議です」

――確かに人間関係や感情の揺れは変わらないかもしれません。

「僕はある種、お婿さんなんです。だから金持ちの家に行ったマスオさん。奥さんはすっごい悪いサザエさんですけど。僕は奥さんを叱るシーンもあるんですけどね。“あんたは婿のくせに”みたいに言い返されちゃったりして」

――(笑)。多くの方がやってきている芝居であり、役です。

「このシリーズも5回目ですが、オールバニは、いまやってる(※取材時)6本目の舞台『月夜の一文銭』の座長の松井誠さんが、過去にやってるんです。だからお話しを聞いたりして(松井誠は『リア王2024』の振付・所作指導も担当)。意外と僕はそういうのをずうずうしく聞いちゃえるほうなので(笑)。

 あと時代劇もそうですが、シェイクスピア劇も、20代のころはそんなに興味がなかったんです。年配の先輩たちが一生懸命やっている姿を見て、“なんで、このおじさんたちはそんなに一生懸命やってるんだろう”と思ってました。でも自分がおじさんになったら、面白くなってくるんですよね。舌が変わるのかな」

――人生経験も役者経験も積むほどに面白くなる芝居なんですかね。続く秋には、唐さんの戯曲『ジャガーの眼』での主演が控えています。

「僕を劇団『新宿梁山泊』に誘ってくれた(『状況劇場』の元劇団員でもある)金守珍と最初にやった作品が『ジャガーの眼』なんです。そこから彼とは何作もやっていますが、『ジャガーの眼』は、それ以来、2回目です」