大鶴義丹、父・唐十郎の逮捕時は「母と一緒に面会に行きました」70年代と現代の“かっこよさの変化”

AI要約

大鶴義丹がアングラ演劇の元祖・唐十郎と女王李麗仙を両親に持ち、豪快なエピソードを持つ幼少期を過ごした。唐十郎の劇団「状況劇場」で育ち、多岐にわたる舞台に挑戦する現在の姿が描かれる。

唐十郎の映画撮影で実弾の拳銃を撃った際に捕まるという事件に巻き込まれた経験についても触れられる。

幼少期から演劇の世界に触れ、親の活動を通じて環境の中で成長し、今も精力的に活動を続けている大鶴義丹の生い立ちが明らかにされる。

大鶴義丹、父・唐十郎の逮捕時は「母と一緒に面会に行きました」70年代と現代の“かっこよさの変化”

 1990年代、ドラマ『逢いたい時にあなたはいない・・・』『悪魔のKISS』などで活躍し、名を広めた大鶴義丹。小説家や映画監督としての顔も持ち、現在は、主戦場を舞台に置く大鶴さんは、紅テントを象徴とする「状況劇場」で知られ、今年の5月に逝去したアングラ演劇の元祖・唐十郎を父に、アングラの女王と呼ばれ、ドラマ『3年B組金八先生』でも知られた李麗仙を母に持つ。そんな大鶴さんの語るTHE CHANGEとはーー。【第1回/全5回】

「ちょっとやりすぎましたかね(笑)」

 暑い日の続く東京。時間より早く到着した大鶴さんに「今年は10本の舞台に立つそうですね」と話しかけると、言葉とは裏腹に、はにかんだ笑顔が返ってきた。今日もこのあと、芝居の稽古場に向かうという大鶴さん。10本のジャンルは、シェイクスピア劇『リア王2024』や、父・唐十郎さんの戯曲『ジャガーの眼』など多岐にわたる。

 唐さんはアングラ演劇の始祖と呼ばれたレジェンド。今年56歳になった大鶴さんは、唐さんの劇団「状況劇場」が新宿・花園神社境内に紅テントを建てた1967年の翌年、誕生した。

 子どものころ、自宅は稽古場でもあった。「状況劇場」は麿赤児、不破万作、根津甚八、小林薫らを輩出。クマさんこと篠原勝之や横尾忠則らがポスターを手掛けた。

「ずっと見てました。“年がら年中、大人がお祭り騒ぎみたいに何をやってるんだろう。面白そうだな”と。30分見て飽きたら見るのをやめて、戻ってくるとまだやってるから続きを見て。次の日も行くとやってる。Netflixじゃないけど、自分の好きなときに見て楽しむ感覚(笑)。そういうぜいたくな環境だったんですよね。オヤジの戯曲はすごく難しいですけど、子どもながらにこういう話だとか、今回よりも前回のほうが面白かったとか、分かっていた記憶があります」

 残された傑作群はもちろんのこと、唐さんには、その人物像にも豪快な逸話が多い。そうした話を、子ども時代はどう受け止めていたのだろう。

「今と違ってスマホやネットがあるわけじゃないので、自分の世界が特別だとは思っていなかったんです」と大鶴さん。だが、続くエピソードにはやはり驚かされる。

「オヤジが監督した映画で、主演の安藤昇さんと本物の拳銃を撃って捕まったんです。当時、僕は小学2年か3年生だったんですけど、母親と一緒に小田原警察に面会に行きました」

 唐さんは1976年、初監督映画『任侠外伝 玄界灘』の洋上ロケ撮影で、外国製の拳銃を使って実弾を発射。銃刀剣類所持等取締法違反などの罪で逮捕され、罰金15万円の判決を受けた。