中村歌六、「秀山祭」開催に感謝 演目立てに「まったく違うジャンルの芝居が楽しめます!」と自信

AI要約

「秀山祭九月大歌舞伎」の出演者である中村歌六の取材会が、本日8月8日に行われた。

「秀山祭」とは初代中村吉右衛門の功績を顕彰し、2006年から続く興行で、吉右衛門亡き後も継続されており、今年も開催が決定している。

歌六は今年の「秀山祭」で重要な役を担当し、過去の経験や役への取り組みについて言及している。

「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」や「摂州合邦辻」での役どころや役への取り組み、共演者との関係などについて明かしている。

さらに、歌舞伎座での公演に期待を寄せ、観客におすすめの演目について述べている。

「秀山祭九月大歌舞伎」の詳細や出演者、公演日程について説明されており、チケットの一般販売開始日も案内されている。

中村歌六、「秀山祭」開催に感謝 演目立てに「まったく違うジャンルの芝居が楽しめます!」と自信

「秀山祭九月大歌舞伎」の出演者である中村歌六の取材会が、本日8月8日に東京都内で行われた。

「秀山祭」とは初代中村吉右衛門の功績を顕彰し、その芸と精神を継承していくことを目的とした興行。2021年に死去した二世中村吉右衛門を中心に2006年に始まり、毎年9月に東京・歌舞伎座で、初代ゆかりの演目が上演されてきた。吉右衛門亡きあとは、2022年には吉右衛門の一周忌追善、昨年は三回忌追善として行われた。吉右衛門が率いた播磨屋の一員である歌六は、今回の「秀山祭」開催について「今年も『秀山祭』と冠した公演ができることを、ありがたく思っております。吉右衛門のお兄さんの『秀山祭』に対する思いは、並々ならぬものだったと思いますし、身を粉にして大事になさっていた興行ですので、これから先もみんなで力を合わせて、続けていけたら」と言葉に力を込める。

歌六は昼の部「『摂州合邦辻』合邦庵室の場」で、玉手御前の父・合邦道心、「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」で、物語の鍵を握る方士・丹翁を勤める。歌六が合邦を演じるのは、2015年の歌舞伎座公演以来、2度目のこと。役について「前回は(尾上)菊五郎のお兄さんからお話を伺いましたが、『ああいうのは、お前のほうが得意だろ』と言われてしまって(笑)。それで昔の映像や資料を調べていたところ、(八世市川)中車のおじが、初代さん(初代吉右衛門)を好きで尊敬していた、という話を(市川)段四郎さんから生前に聞きまして。中車のおじは、初代さんの芸を忠実に覚えていらっしゃったようで、中車のおじの合邦が初代さんに近いのではと思い、(八世中車が合邦を勤めた)1956年に明治座でやった公演の映像がNHKに残っていたので、参考にさせていただきました」と明かす。

さらに、合邦の役どころについて「合邦は、情がある人。娘が本当に可愛くて、家に帰って来てくれた懐かしさとうれしさもある。でも、娘を放っておくと、俊徳丸のことも、浅香姫のことも殺してしまいそうだから、自分が手にかけなければならないと考えたのでは」と話しつつ、今年7月に大阪・大阪松竹座で行われた「七月大歌舞伎」夜の部「『義経千本桜』木の実 小金吾討死 すし屋」でも勤めた鮓屋弥左衛門との共通点に触れる。「(7月公演で、弥左衛門に殺されるいがみの権太を勤めた片岡)仁左衛門のお兄さんは『お前、今度は娘を殺すんやな』と笑っていらっしゃいました(笑)。合邦と玉手、弥左衛門と権太の親子関係は似ていますよね。両方とも、もっと落ち着いて子供の話を聞いてやれよ、とも思いますが(笑)」と笑う。なお今回、歌六の長男・中村米吉は浅香姫を初役で勤める。米吉に期待することを記者から問われると「放っておきます(笑)。もう世帯も別ですから、彼には勝手に生きていってもらいます」とちゃめっ気たっぷりに笑みを浮かべた。

「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」は、夢枕獏の小説を原作にした新作歌舞伎で、2016年に初演された。作中では、遣唐使として唐の都、長安にやってきた空海(松本幸四郎)を主人公にした物語が展開。初演に続き、丹翁を勤める歌六は「劇中劇が入ったり、義太夫が入ったりと、非常に面白いお芝居ですし、丹翁もやっていて楽しいお役。(丹翁は)ある部分ではひょうひょうとしていますが、ある部分では筋の通った部分が見える、多面性のある親父。役を作っていくのは、なかなか楽しいですね」と話す。また、2018年に紫綬褒章を夢枕と共に受章した際、文部科学省の控室で夢枕と会話をしたことを明かし、「『またやりたいですよね。歌六さんから(松竹に)言ってください!』とおっしゃいまして。『僕が言うより先生が言ったほうが通りますから』と申し上げました(笑)」と語る。演目立てについて「夜の部は(「『妹背山婦女庭訓』太宰館花渡し 吉野川」、「歌舞伎十八番の内『勧進帳』」と)メインディッシュが並んでおりますが、昼の部も、古典の名作に、出来の良い新作と、まったく違うジャンルの芝居が楽しめます。ぜひお客様に観に来ていただきたいですね」と自信を見せた。

二世吉右衛門との「秀山祭」の思い出を問われると、「一番、がっぷり組んでいたのは『沼津』ですね。また、三世中村歌六の百回忌追善狂言として、2019年に『沼津』と『松浦の太鼓』をやらせていただいたのも、お兄さんが『(百回忌は)秀山祭でやらなきゃダメだよ。僕が直接、松竹と話をするから』と、掛け合ってくださったおかげ。感謝してもしきれないですね」と言葉に思いをにじませる。2019年の「松浦の太鼓」では、歌六は松浦鎮信を初役で演じた。「今後初役でやってみたい演目は」と質問されると「僕はなんでもやりたい人なんですよ。やらせてくれれば、なんでもやります!」とにっこり。記者から、2022年に代役で勤めた「河内山」の河内山宗俊はどうかと提案されると、「(代役では)とりあえず出て、という感じで出されてしまいましたので(笑)、今度はちゃんとお稽古した形で、本役でやらせていただきたいですね」と述べた。

「秀山祭九月大歌舞伎」は9月1日から25日まで歌舞伎座にて。チケットの一般販売は8月14日10:00にスタート。

■ 「秀山祭九月大歌舞伎」昼の部

2024年9月1日(日)~2024年9月25日(水)

東京都 歌舞伎座

□ スタッフ

二、「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」

原作:夢枕獏

脚本:戸部和久

演出:齋藤雅文

□ 出演

一、「『摂州合邦辻』合邦庵室の場」

玉手御前:尾上菊之助

俊徳丸:片岡愛之助

奴入平:中村萬太郎

浅香姫:中村米吉

母おとく:上村吉弥

合邦道心:中村歌六

二、「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」

空海:松本幸四郎

楊貴妃:中村雀右衛門

白楽天:中村歌昇

廷臣馬之幕:大谷廣太郎

玉蓮:中村米吉

春琴:中村児太郎

阿倍仲麻呂:市川染五郎

橘逸勢:中村吉之丞

白龍:中村又五郎

丹翁:中村歌六

憲宗皇帝:松本白鸚

■ 「秀山祭九月大歌舞伎」夜の部

2024年9月1日(日)~2024年9月25日(水)

東京都 歌舞伎座

□ スタッフ

一、「『妹背山婦女庭訓』太宰館花渡し 吉野川」

作:近松半二

□ 出演

一、「『妹背山婦女庭訓』太宰館花渡し 吉野川」

太宰後室定高:坂東玉三郎

久我之助:市川染五郎

雛鳥:尾上左近

大判事清澄:尾上松緑

二、「歌舞伎十八番の内『勧進帳』」

武蔵坊弁慶:松本幸四郎

源義経:市川染五郎

片岡八郎:中村歌昇

駿河次郎:中村種之助

亀井六郎:市川高麗蔵

常陸坊海尊:大谷友右衛門

富樫左衛門:尾上菊之助