「虎に翼」で稲を演じる田中真弓「ルフィをやっていて良かったと思いました」

AI要約

NHK総合ほかで放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。物語の主人公・佐田寅子は、初めて誕生した女性弁護士の1人として注目を集め、憧れの的となる。戦争で多くの家族を失った後、裁判官を目指し、司法省で働く寅子は「家庭裁判所の母」と呼ばれる存在となる。

新潟地家裁三条支部に赴任した寅子は、稲という過去を持つ女中に助けられる。田中演じる稲は愉快でコメディエンヌ的な一面もあるが、娘や孫のような存在に支えられる幸せを感じている。

ドラマの撮影において真面目な役柄からコメディーシーンまでこなす中で、田中さんは愉快な演技スタイルに挑戦したり、役柄に感情移入することに苦労したりしたことを明かしている。

「虎に翼」で稲を演じる田中真弓「ルフィをやっていて良かったと思いました」

 NHK総合ほかで放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。物語の主人公・佐田(猪爪)寅子(伊藤沙莉)は、昭和13(1938)年に日本で初めて誕生した女性弁護士の1人として日本中から注目され、憧れの的に。その後、戦争で父・兄・夫を亡くし、家族を支えるために裁判官を目指し、司法省で働き始める。「家庭裁判所の母」と呼ばれ、仕事が順調な寅子は、娘の優未(竹澤咲子)と共に新潟地家裁三条支部に赴任することに。優未と二人きりの生活に苦労する寅子の元に、花江(森田望智)から届いた援軍はなんと稲(田中真弓)だった。

 今回は、花江の実家で働く女中という過去を持ち、新潟でも寅子を助ける稲役の田中さんにインタビュー。役作りから伊藤さんとの撮影エピソードまでたくさん伺いました!

――朝ドラ出演は、「なつぞら」(NHK総合/2019年前期放送)以降2作目ですが、出演が決まった際の感想を聞かせてください!

「憧れの朝ドラだったので、本当にうれしかったです。『なつぞら』の時は、村川さんって名前もあったんですけど、1回だけの出演で。回を重ねて出てくる役をやりたいと思っていたので、だるまに目を入れたぐらいです。本当ですよ! 私は、小学生の時に、『おはなはん』(NHK連続テレビ小説/1966年放送)を見てから学校に行っていて、樫山文枝さんが大好きでした。小学生の時は、今みたいに情報がなかったのであらぬ夢を見られたんです。役者になりたいと思えば普通になれるものだと思っていました。朝ドラの主役には18歳になったら普通に抜てきされるんだと思っていて、『なかなか誰も抜てきしてくれないなあ…』と思っているうちに70歳になって、今回やっと出演できました(笑)」

――実際に朝ドラの撮影に入ってみていかがでしたか?

「面白くてしょうがないです。ドラマの撮影は、手元だけ撮ったり、同じシーンを違う方向から何度も撮ったりするんです。違う方向から撮るときには、『今はいなくていいです』と言われたり、トラちゃんがいない状態で撮るときに目線が難しかったり…。映像での芝居に、もっと慣れたいですね」

――稲は、社会に出て男性と同じように働く寅子に対して「全ては手に入らないものですよ?」(第33回)という言葉をかけますが、田中さんご自身は共働きで頑張ってこられた方ですよね。若い頃のご自身に駄目出しするようなセリフをどういう思いで言ったのでしょうか。

「私は自分の人生を大事にしてきたので、確かに私が言わなそうな言葉だなと。友達からも、『真弓が絶対に言わないセリフを吐いていたね』と連絡が来ました。でも、稲さんはこの時代の女性としてトラちゃんを見て、女の幸せという点で、トラちゃんの人生を心配に思ったんでしょうね」

――稲を演じる上で1番心掛けていたことを教えてください。

「稲さんは、夫はいたんですけれども子どもはいなくて。そう思うと、花江ちゃんとトラちゃんは娘、優未は孫のような存在で、頼られることや必要とされることがすごくうれしいんだろうなと思っていました」

――演じていて難しかったことはありましたか。

「稲さんの印象に関して最初は、真面目で女の幸せをちゃんと考えていて、頭のいい人なのかなと思っていたんですけど、新潟に行ったら逆で、愉快な人だったんだなって(笑)。役作りが自分でもちょっと変わってしまいました。演出の方が最初の時に『もっとやっちゃっていいですよ』と言っていた意味が、もっと愉快にやっていいですよということだったんだと後から分かりました。花江ちゃんの結婚式の招待状を書いている時に、とりあえず腹でもたたいておこうかと思って、腹をたたいたのですがカットになっていたので、ひょうきんな演技は望まれていないのかなと思っていたんですけど、新潟では愉快でコメディエンヌ的な稲さんをいろいろやってみました」