AI時代の最先端にいる藤井聡太7冠 22歳「試練の夏」 「真夏の7番勝負」は1勝1敗タイに

AI要約

藤井聡太7冠が「試練の夏」を迎えており、タイトル戦での敗北やAIによる研究の影響に直面している。

AI時代において、藤井7冠も複数の棋士による「藤井対策」という脅威に直面している。

結果にこだわらず、常に強くなることを目指す藤井7冠の姿勢が変わらず、渡辺明九段とのタイトル戦が注目を集めている。

AI時代の最先端にいる藤井聡太7冠 22歳「試練の夏」 「真夏の7番勝負」は1勝1敗タイに

 藤井聡太7冠(竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖=22)が「試練の夏」を迎えています。6月20日の叡王戦第5局で同学年の伊藤匠(たくみ)七段に敗れ、8冠陥落。渡辺明九段が挑戦者となる第65期王位戦7番勝負第2局では相手の巧みな戦術に完敗し、「真夏の7番勝負」は1勝1敗のタイになりました。

 将棋界では人工知能(AI)による研究が全盛時代を迎え、ほとんどの棋士がAIでの研究に時間を割いています。10代、20代の若手だけではなく、棋士として指し盛りといわれる30代、AIをうまく活用すれば、経験値の高い40代、50代にもタイトル挑戦にチャンスが広がっています。AI時代の最先端にいる藤井7冠と言えども、複数棋士による「藤井対策」は「脅威」です。タイトル戦では、AIで事前研究を深めたスタイルの違う挑戦者が次々に現れます。

 タイトル戦で初めて敗北し、全8冠独占が崩れた叡王戦第5局の終局後、藤井7冠は「時間の問題だと思っていた」と、らしくないコメントもありました。

 全8冠獲得ロードを歩んでいるときは、タイトルを獲得するよりも「結果は関係なく、強くなることが一番の目標」と常々、口にしていました。7冠に後退しましたが、後日、こう語りました。

 「残念な結果ではあったが、急所の局面でミスが出てしまった。仕方がないかなという気持ちもあった。引きずらずに切り替えて、やっていければと思っていた。それほど、大きく変わらず過ごしていた」

 もちろん、内面までは分かりませんが、コメントからは大きなショックはなかったようです。師匠の杉本昌隆八段は叡王を奪取された後も「普段と変わらなかったですね」と証言します。「強くなること」を目指す姿勢に変わりはないようです。

 急速に進歩するAIによって、将棋の「常識」も次々に変わります。藤井7冠がタイトル戦で指した「新手」はインターネットなどを通じて瞬時にライバルたちに知れ渡り、徹底的に解剖されて対策が立てられます。

 王位戦第1局で、昨年の名人戦第3局以来、431日ぶりに藤井7冠から白星を挙げた渡辺明九段は王位戦第3局に向けて「作戦を練って臨みたい」。7月19日に22歳の誕生日を迎えた若き第一人者の「試練の夏」は続きます。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)