「おぼえていますか?」『マクロス』劇場版公開から40年 スタッフの本気が生んだ稀代の名作

AI要約

劇場用映画『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の公開40周年を記念して、作品の魅力や制作過程について振り返る。

TV版『マクロス』から劇場版企画がスタートし、劇場版では作画クオリティの向上が期待される中、スタッフの本気が評価されることに。

エピソードや作画クオリティに関するファンの期待や不満、劇場版とTV版の違いについて紹介。

「おぼえていますか?」『マクロス』劇場版公開から40年 スタッフの本気が生んだ稀代の名作

 本日7月21日は、1984年に劇場用映画『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』が公開された日です。今年で40年が経過しました。そのクオリティの高さはいまなお、ロボットアニメの劇場用映画として最高峰と評価する人もいます。

 元々、この劇場版はTV版である『超時空要塞マクロス』の人気が高かったため、その放送中から企画が開始されました。当時の風潮として、人気の高いTVアニメ作品が劇場用映画になるという流れはごく自然なものだったのです。

『マクロス』はスピーディーのあるメカ描写、主人公をめぐる三角関係、「歌」が物語の中心となる作劇といった要素が、特に目を引く作品でした。後にシリーズ化された際、これらの要素は継承されていくことで、後に「マクロス三大要素」と認識されるようになります。

 これらが引き金となって数多くのファンを生む一方、、そのファンのほとんどが不満に思ったであろうことがありました。それが「作画クオリティの低さ」です。正確に言えば、各話ごとに「スゴイ!」と思わせる回もあれば、プロとしてレベルが低いとしかいえない回もありました。

 前者の代表格として挙げられるのは第27話「愛は流れる」でしょうか。徹頭徹尾、劇場版並みのクオリティで当時のアニメファンを驚かせました。このエピソードでは味方メカ「デストロイド・モンスター」が、格納庫の床を踏み抜くという伝説的なシーンがあります。これを作画したのは、当時まだアマチュアのアルバイトだった庵野秀明さんでした。

 逆に後者の代表格といえば、第11話「ファースト・コンタクト」が挙げられます。作画レベルも低かったうえに、動画が足りずに不自然な動きになっていた箇所がいくつもありました。当時のファンからは「紙芝居」とまでいわれています。放送後にフィルム自体を修正したため、現在では再放送や配信などで観ることはできません。ただソフト化した際、特典映像として「当時のTV放送を録画したビデオ映像」を収録しており、これのみが流通しています。

 こういった事情から、当時のファンが望んでいたのは、作画クオリティの高い劇場版でした。当時、TVアニメ作品が劇場化される際には、TV版の映像を中心とした再編集ではあるものの、そこへ新規作画を追加することが通例だったからです。

 第27話の作画クオリティが劇場版並みと前述しましたが、この品質で劇場版は再構成されると、ほとんどのファンが期待していました。ところが劇場作品『愛・おぼえていますか』の情報が少しずつ公開されていくと、多くのファンは予想外だった「スタッフの本気」を見せられることになったのです。