産んだ側と産まなかった側。弥生(有村架純)が示した「母親になる」決意のゆくえは 『海のはじまり』2話

AI要約

目黒蓮演じる月岡夏が、大学時代の恋人・南雲水季の葬儀の場で、彼女の娘・南雲海に出会う。

夏と弥生のやりとりを通して、二人の“会話の速度の違い”が浮かび上がり、海との関係性に影響を及ぼす可能性が示唆される。

弥生の過去の中絶手術とその後の変化が、水季との違いと共に明らかになり、母親となる可能性に向けた弥生の複雑な思いが描かれる。

産んだ側と産まなかった側。弥生(有村架純)が示した「母親になる」決意のゆくえは 『海のはじまり』2話

目黒蓮演じる月岡夏が、大学時代の恋人・南雲水季(古川琴音)の葬儀の場で、彼女の娘・南雲海(泉谷星奈)に出会う。人はいつどのように父となり、母となるのか。生方美久脚本・村瀬健プロデューサーの『silent』チームが新しく送り出す月9ドラマ『海のはじまり』(フジ系)は、親子や家族の結びつきを通して描かれる愛の物語だ。第2話では、夏の恋人・百瀬弥生(有村架純)の過去が明かされるとともに、彼女の密かな決意が示される。

夏(目黒)と弥生(有村)のやりとりを聞いていると、彼らの“会話の速度の違い”に気づく。

夏の母・月岡ゆき子(西田尚美)が言っていたように、夏は「言葉にするのが苦手な子」だ。一度にたくさんのことを考えすぎて、口に出すのがワンテンポ遅れてしまう。弥生に対し、海(泉谷)のことを説明しようとしても、頭の回転が速い弥生に「妊娠を知らされずに別れたってことでしょ?」と、事実とは違った解釈をされてしまう場面もあった。

弥生は決して、相手の話を最後まで聞かず早合点をするタイプではないだろう。夏の会話の癖を承知しているからこそ、彼の考えを先まわりして提示してあげることに、慣れてしまっているのだ。

これまでは、そんな二人の間合いが問題になることはなかったのかもしれない。しかし、海は夏の“親戚の子”などではなく、正真正銘、彼の子なのだ。デリケート、かつじっくり認識を合わせていく必要のある事柄だからこそ、夏と弥生のすれ違いが目立つ。この会話の速度の違いは、後々、二人の関係性に響いてくるだろう。

弥生には、過去に中絶手術の経験があることがわかった。それはつまり、かつての水季と同じ立場だったことになる。

水季は、夏に同意書へのサインをもらったものの、彼には打ち明けないまま海を出産した。しかし弥生は、パートナーに同意書へのサインをもらったところまでは水季と同じだが、その後、自分の子どもを産むことはなかった。

産んだ側と、産まなかった側。水季と弥生の、酷な対比が浮かび上がる。

弥生は海と知り合ったあと、夏が父親となり、彼女自身が母親となる可能性を示してみせた。それは、純粋に海の母親になりたいという気持ちからの決意か、それとも。自分が過去にした選択を、間違いではなく正解にしたい、やり直したいという思いが、心をかすめているとは言えないだろうか。