年々進む「お中元離れ」に変化? 急成長するソーシャルギフト、夏季流通額で35%増を記録

AI要約

お中元市場の縮小傾向と背景にある人間関係の変化やコミュニケーションの変化について、SNSの普及や若者を中心としたお中元離れの実態などが取り上げられている。

フォーマルギフトのお中元が持つ役割や必要性が薄れていく中、LINEギフトが昨年35%増の成績を収めるなど、ソーシャルギフトの復活に注目が集まっている。

若者を中心にお中元の贈り物習慣が廃れる中、お中元を贈らない理由や意識の変化などが調査結果から明らかになっている。

年々進む「お中元離れ」に変化? 急成長するソーシャルギフト、夏季流通額で35%増を記録

 近年、縮小傾向にあるフォーマルギフト市場。中でも顕著なのが「お中元離れ」だ。各家庭だけでなく、ビジネス現場でも企業間の贈答を取りやめると言った動きもみられる。そんな中、ソーシャルギフトの最大手、LINEギフトでは昨年、お中元を中心とした夏季流通額で前年比約35%増を達成した。廃れつつある夏の贈り物習慣をいかにして復活させたのか。担当者に話を聞いた。

 古くは室町時代に始まり、江戸時代以降、日頃の感謝を伝える「夏のご挨拶」として親しまれてきたお中元。子ども時代、夏休みに届くジュースの詰め合わせやゼリーを楽しみにしていた人も多いのではないだろうか。ところが近年、その市場は縮小傾向が続いている。背景には、人間関係における価値観の変化が挙げられるという。

「お中元は、もともと職場の上司や義実家などに贈ることが多かったと思います。昔は『贈らないと失礼に当たる』雰囲気がありましたが、今は『別に贈らなくても失礼ではない』と意識が変わってきています。これは、人間関係が希薄になったということではなく、人間関係における“価値観”や“距離感”が変わってきたのだと思います」(LINEギフト事業責任者・嘉戸彩乃さん/以下同)

 これは、「年賀状離れ」と同様のケースと言えるだろう。昔は「出さないと失礼」という雰囲気があったが、今は「もう年賀状をやめます。出しません」と宣言する人もいて、もらえないことに対して不快感を抱く人も少なくなっている。

 また、SNSの普及によるコミュニケーションの変化もお中元離れの一因ではないかと話す。

「昔はお中元を贈って、日頃の感謝を伝え、それをきっかけに手紙や電話で『私は元気です。あなたはどうですか?』といったやり取りをしていたと思います。フォーマルギフトのお中元は、そうしたコミュニケーションツールとしての役割も担っていました。しかしSNSが普及したことによって、今は相手の近況を気軽に知ることができますし、普段からコミュニケーションも取れています。そういった観点からも、お中元の必要性が薄れていったのではないでしょうか」

 昨年、LINEギフトが行った「お中元に関する調査」においても、若者を中心としたお中元離れの実態と、意識の変化が浮き彫りになっている。「今年お中元を贈る予定か?」との質問に、20代の79%が「贈らない」と回答。さらに40代以上は8割以上が「お中元を贈った・もらった」経験がありながら、「今年お中元を贈る」と回答した人は45%にとどまった。お中元を贈らない理由としては、1位が「贈る習慣がない」(57%)、2位は「贈る必要性を感じない」(34%)、3位が「マナーなどが分からず、儀礼的で堅苦しい」(16%)となっている。