藤井聡太・棋聖、「予想していなくて」向かい飛車に「序盤から難しかった」45手目の逆襲は「後手陣が手厚くなってくると自信ない気が」【棋聖戦】

AI要約

将棋の第95期棋聖戦5番勝負第2局は、藤井聡太棋聖と山崎隆之八段の対戦で、藤井棋聖が2連勝し5連覇に向けて勝利を収めた。

対戦は序盤から激しい攻防が繰り広げられ、藤井棋聖が銀冠という囲いを目指した展開や逆襲を決意するなど巧みな指し手が光った。

終盤では藤井棋聖が猛攻を受ける中、優位を保ちながら巧みな守りも組み合わせ、最後は即詰みで勝利を確実にした。

藤井聡太・棋聖、「予想していなくて」向かい飛車に「序盤から難しかった」45手目の逆襲は「後手陣が手厚くなってくると自信ない気が」【棋聖戦】

 将棋の第95期棋聖戦5番勝負第2局は17日、新潟市の「高志の宿 高島屋」で指され、先手の藤井聡太棋聖(21)=竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・王将との八冠=が111手で挑戦者・山崎隆之八段(43)を下し2連勝、5連覇に王手をかけた。防衛すれば通算5期となり、過去5人いる永世棋聖を名乗る資格を得る。持ち時間4時間(ストップウオッチ方式)のうち消費は藤井棋聖が3時間36分、山崎八段は3時間59分。両者の公式戦対戦成績は藤井棋聖の3勝1敗となった。第3局は7月1日に名古屋市中区の「亀岳林 万松寺」で指される。

 後手の挑戦者が14手目に飛車を2筋に振ってきた。この向かい飛車を「予想していなくて、序盤から一手一手難しかった」と言う藤井棋聖。序中盤は駒組みにじっくりと時間を使い、8筋の玉の上に銀を置いて金2枚を接近させる「銀冠」と呼ばれる囲いを目指した。後手が38手目に動いて桂交換を要求したが、先手はいったん金を玉に寄せて銀冠を完成してから交換に応じたのが落ち着いた手だった。

 一時は山崎八段より45分多く消費していたが「後手陣が手厚くなってくると自信がない気がした。こちらの玉の堅さが主張できるうちに仕掛けていきたい」と45手目に3筋の歩をぶつける逆襲を決意。その後はテンポのよい指し手で、後手が6筋の歩をぶつけてきたのを利用して角交換に成功すると、手順に右の銀も囲いに引き寄せて金銀4枚の堅城を築き、ペースをつかみ、消費時間も50手目には逆転しだ。

 終盤、山崎八段が逆転を狙って猛攻を仕掛けた。「いきなり激しくなったのでどう見るべきか難しいのかな」と最善手を求め続けた。78手目、敵陣に角を打ち込み、銀との連係で相手玉を「押さえ込んで、後手の攻めを余らせる形になったのかなと思った」。優位を感じつつも、攻め一辺倒ではなく自玉近くに金や角を打ち込む守りの手も組み合わせて、最後は即詰みに仕留めた。

 藤井棋聖はこのタイトルを2020年7月16日に渡辺明棋聖から奪取して初戴冠。17歳11カ月で最年少タイトルホルダーとなった。防衛がたとえ7月23日の最終第5局までもつれてもその時点で22歳0カ月で、中原誠十六世名人の23歳11カ月を更新し、最年少永世称号獲得となるが「シリーズ中はあまりそのことは意識せずにと思っています。次は後手番なので、しっかり準備しなければいけないと思う」と目の前の一局だけを見詰める藤井棋聖。中2日の20日には、挑戦者・伊藤匠七段(21)との叡王戦最終第5局が待っている。この防衛か失冠かを懸けた戦いにも、臨む姿勢は変わらない。