藤井聡太8冠、土俵際 踏みとどまれるか 叡王戦第4局

AI要約

将棋の藤井聡太叡王(21)に伊藤匠七段(21)が挑戦し、伊藤七段が2勝1敗と王手をかけた叡王戦五番勝負の第4局が31日、千葉県柏市で指す。

藤井叡王は初めてタイトル戦で追い込まれ、敗れれば8冠独占の一角が崩れ、伊藤七段が初タイトルを獲得する可能性がある。

両者の過去の対戦や今回の経過、第4局の注目ポイントについて解説。

藤井聡太8冠、土俵際 踏みとどまれるか 叡王戦第4局

 将棋の藤井聡太叡王(21)に伊藤匠七段(21)が挑戦し、伊藤七段が2勝1敗と王手をかけた第9期叡王戦五番勝負(不二家主催)の第4局が31日、千葉県柏市で指される。藤井叡王がタイトル戦で先に土俵際に追い込まれるのは初めて。敗れると2023年10月から続く史上初の8冠独占の一角が崩れ、伊藤七段が初タイトルを獲得する。藤井叡王は勝って最終局に持ち込むか、それとも同学年の伊藤七段に1冠を明け渡すのか、8冠達成後最大の正念場を迎える。

 藤井叡王は、23年秋に8冠を達成した後、竜王戦、王将戦、棋王戦を防衛。5月27日には名人初防衛を果たし、22度のタイトル戦を全て制した。唯一王手をかけられたのは21年の叡王戦五番勝負で、叡王を保持していた豊島将之九段(34)に第4局で敗れて2勝2敗のタイに追いつかれた末、最終局を制して叡王位を手にした。これまでのタイトル戦で2敗したのは、他に22年の竜王戦(対広瀬章人九段、4勝2敗)と23年の王将戦(対羽生善治九段、4勝2敗)しかない。

 伊藤七段は、小学3年時の将棋大会で同学年の藤井叡王に勝利し、藤井叡王を号泣させたことで知られる。藤井叡王より4年遅い20年10月にプロ入りし、21年の新人王戦で棋戦初優勝した。23年の竜王戦で初のタイトル挑戦を果たすと、24年には棋王戦の挑戦権も獲得した。ともに藤井叡王に挑んだがいずれもストレート負けを喫した。叡王戦でも挑戦者となり、「三度目の正直」を期して大舞台に臨んだ。

 今期叡王戦は藤井叡王が先勝し、伊藤七段が第2局で白星を返した。第3局は藤井叡王優勢で進んだが、伊藤七段が難しい終盤戦に持ち込んだ末に勝利をもぎ取った。第4局は伊藤七段の先手番で持ち時間は各4時間。31日午前9時に対局が始まり、同日夜に決着する見込み。

 30日に行われた前夜祭で、藤井叡王は「スコア的には追い込まれて苦しい状況だが、しっかり集中して最後まで楽しんでもらえる熱戦にできるよう全力を尽くしたい」、伊藤七段は「シリーズとしては佳境だが、第3局から1カ月ほど間が空いて久々の大きい舞台の対局と感じている。楽しんでもらえるような熱戦をお見せできればと思う」と決意を語った。【丸山進】