藤井名人が初防衛 豊島九段降し4勝1敗 対抗形に穴熊囲い押し切る

AI要約

北海道紋別市のホテルオホーツクパレスで第82期名人戦七番勝負が開催され、藤井名人が初防衛を果たす。今回は22連覇を達成し、全8冠を維持した。

豊島九段との対戦では、AI研究を減らし戦法を広げた挑戦者が名人復位を目指し、対抗形での熱戦が展開された。

藤井名人は名人戦と並行する叡王戦でも苦戦中で、全冠制覇の記録にも影響が出る可能性がある。

藤井名人が初防衛 豊島九段降し4勝1敗 対抗形に穴熊囲い押し切る

 北海道紋別市のホテルオホーツクパレスで26日から繰り広げられた第82期名人戦七番勝負の第5局(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛、紋別市など地元共催)は27日午後7時49分、藤井聡太名人(21)が挑戦者の豊島将之九段(34)を99手で降し、対戦成績4勝1敗で初防衛を果たした。タイトル戦は負けなしの22連覇で、自身が持つ最長記録を更新し、全8冠を堅持した。持ち時間各9時間のうち残り時間は藤井名人1時間1分、豊島九段3分。

 両者のタイトル戦は5度目で、豊島九段は5期ぶりの名人復位を目指した。昨年から人工知能(AI)を使った研究の比重を減らし、戦法の幅を広げた挑戦者の戦いぶりが注目されたシリーズだった。AI研究が終盤まで進む角換わり戦は現れず、第4局でカド番をしのいだ豊島九段は第5局で四間飛車に振り、名人戦では13年ぶりに居飛車と振り飛車が対峙(たいじ)する「対抗形」の戦いになった。藤井名人は対抗形で度々採用する穴熊に囲い、危なげなく押し切った。

 藤井名人は、名人戦と並行して進む第9期叡王戦五番勝負(不二家主催)では伊藤匠七段(21)の挑戦を受け、第3局を終えて1勝2敗とカド番に追い込まれている。31日の第4局に敗れると、2023年10月に達成した全冠制覇が初めて崩れる。【丸山進、新土居仁昌】