“肉の味を覚えたクマ”が人を襲うおそれも 繁殖期の5~6月は「共食い」が多発するほどで特に危険!【相次ぐクマ被害】

AI要約

日本にはヒグマとツキノワグマの2種類のクマが生息しており、それぞれ特徴が異なる。

ヒグマは攻撃性が強く、ツキノワグマは学習能力が高いが、人を襲う頻度は低い。

クマが動物の味を覚えると、人にとって危険な存在になる可能性がある。

“肉の味を覚えたクマ”が人を襲うおそれも 繁殖期の5~6月は「共食い」が多発するほどで特に危険!【相次ぐクマ被害】

 各地でクマによる被害が相次いでいます。そもそも日本にいるクマはどんな種類で、どういった特徴があるのか。そして、もしクマと遭遇したら…。日本ツキノワグマ研究所の米田一彦所長への取材などをもとに、クマ被害についてまとめました。

 日本には2種類のクマが生息しています。1つは、北海道にのみ生息する「ヒグマ」です。大きいもので体長が2m、体重は60~250kgあります。もう1つが「ツキノワグマ」で、体長は大きいもので約1.5m。ヒグマと比べると小さいですが、九州や四国の大部分を除き、本州のいたるところで生息が確認されています。

 次に、それぞれの特徴です。日本ツキノワグマ研究所の米田一彦所長によりますと、ヒグマは攻撃性が強く、積極的に動物を襲うことがあるようです。一方、ツキノワグマはめったに動物を襲わないということですが、学習能力が非常に高く、東北でイノシシやシカが増加すると、なにかのきっかけでそれらの動物を食べて「エサ」だと学習するおそれがあるそうです。クマがイノシシやシカを食べた場合、それを見ていた他のクマや、それらの動物の死骸を食べた他のクマなども、「エサ」だと認識し学習するということです。

 クマは本来雑食で、昆虫、木の実、蜂蜜などを食べるそうですが、イノシシやシカなど動物の味を覚えたクマは、人からすると非常に怖い存在になると米田所長は強調します。

 クマによる人の被害が多くなっている背景には、様々な要因が考えられるということです。例えば、山菜採りや行楽などで山の中に入る人の数が年々増えてきていて、絶対数が増加しているため、クマと遭遇し人的被害が生じる数も増えてくるということもあります。

 また、人を襲ったクマを駆除のため殺処分した場合、もしそのクマが子グマを連れていると、子グマは自分で山に帰れないため、母グマが殺された場所に居座るということです。そして、そのまま冬が来るとその場で冬眠するということです。そのため、人が住んでいる近くで春になるとやせ細ったクマが現れるのは、上手な冬眠の仕方をしらない山に帰れなかった子グマが、本来しない場所で冬眠し、春に目覚めた時にはその場でエサが取れないなどの状況もあるということです。

 5~6月の今はツキノワグマの繁殖期で、「共食い」が多発するほど気が立っていて、特に危険だそうです。大きなオスグマが若いオスグマを食べてしまうことや、大きなオスグマが母グマといる子グマを食べてしまうことがあるということです。母グマは子グマが近くにいる段階で交尾に応じないため、子グマを食べてしまうということが考えられています。ほかの種の肉を食べることで、よりクマの肉食化が進みやすい時期ともとれるのではないか、というのがこの時期です。山菜採りの季節でもあるため、注意が必要となります。