検察側、再審でも袴田さんに死刑求刑

AI要約

静岡県でみそ製造会社の専務ら一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審第15回公判が行われ、検察側と弁護側の主張が対立している。

争点は事件後に発見された血痕の「赤み」とその消える可能性についての法医学的な議論だ。

袴田さんは再審請求を経て平成26年に釈放されたが、検察側と弁護側の立場は対立したままである。

昭和41年、静岡県でみそ製造会社の専務ら一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審第15回公判が22日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、検察側は袴田さんに死刑を求刑した。弁護側は無罪を主張している。

最大の争点は、事件の1年2カ月後に現場近くのみそタンクからみつかり、確定判決で袴田さんの犯行着衣とされた「5点の衣類」に残された血痕の「赤み」。

東京高裁は昨年3月、長期間みそに漬ければ赤みは消えるはずだとして衣類が捏造(ねつぞう)された可能性を指摘し、再審開始を認めていた。

同年10月から始まった再審公判で検察側は別の法医学者の鑑定などから「赤みは残りうる」として、袴田さんが衣類を隠すことができたと反論。袴田さんが事件直後に左手中指に負った傷は犯行時にできたものだとして、その他の証拠からも有罪とする立証を維持してきた。

一方、弁護側は法医学者の証言などをもとに「赤みは消える」と反論。事件後間もなく逮捕された袴田さんが隠すことはできなかったとして無罪を訴えてきた。

袴田さんは昭和55年に最高裁で死刑が確定。2度の再審請求を経て平成26年の地裁の再審開始決定で釈放された。昨年3月、東京高裁が再審開始を決めた。