ラッコも「草食化」か、オスが求愛しなくなり飼育数減少…数年後には日本の水族館からいなくなる?
鳥羽水族館の人気者、20歳のラッコメイが「鳥羽市ふるさと応援大使」に就任。希少な存在として地元ブランドとして活躍し、大使委嘱式が行われた。
メイは、地元産のイセエビが乗ったアイスケーキを食べて祝福を受け、市長や館長も大使就任を歓迎。今後、オンラインイベントなどで活躍予定。
日本全国でラッコが減少する中、鳥羽水族館には2匹のラッコがおり、市の貢献にも期待。メイのポテンシャルを活かす動きが進行中。
鳥羽水族館(三重県鳥羽市)の人気者・ラッコのメイ(メス、20歳)が、鳥羽の魅力を全国に発信する「鳥羽市ふるさと応援大使」に就任した。鳥羽水族館は全国に「ラッコブーム」を巻き起こしたが、現在、国内で飼育されているのは3匹のみ。希少な「鳥羽ブランド」として、メイは愛嬌(あいきょう)のあるしぐさをアピールしている。(新良雅司、増実健一)
20日、館内で「大使」の委嘱式が行われ、飼育員の石原良浩さんから「任メイ状」と書かれたアイスケーキがメイに贈られた。
メイは、ケーキにのっていた地元産イセエビを腹の上に置き、あっという間にたいらげた。水族館で飼育されているもう1匹のラッコ・キラ(メス、16歳)も式典に出席し、立ち上がってメイの大使就任を祝った。訪れた入館者たちは目を細めていた。
若井嘉人館長は「ラッコが鳥羽のブランドとして、全国に市をPRできることをうれしく思う」、中村欣一郎市長は「メイの人気を、市全体の情報発信に活用したい」と話した。
大使の委嘱期間は2027年3月末まで。今後、メイは各種イベントにオンラインで参加する予定。市は鳥羽水族館と協議しながら、職員の名刺やノベルティーグッズ、ふるさと納税のPRなどにメイを活用する考えだ。
1954年11月に市制を施行した鳥羽市は、今年で70周年。2004年5月9日に鳥羽水族館で生まれたメイも今年、20歳を迎えた。メモリアルイヤーが重なったことを受け、水族館が市に「地元に貢献したい」と申し出て、メイの大使就任が決まったという。
かつては各地の水族館で飼育されていたラッコは、現在、鳥羽水族館の2匹とマリンワールド海の中道(福岡市)のリロ(17歳)の計3匹に減った。
日本動物園水族館協会によると、最盛期の1994年には122匹が飼育されていた。しかし、ラッコの母乳が出ずに子供がうまく育たなかったり、オスがメスに求愛しなくなる「草食化」の傾向がみられたりして、徐々に減少した。