実は注目されている「プロコーチ」とは一体どんな職業か…?メジャーリーガー「菊池雄星」のメンタルを支えた人物に聞いた

AI要約

フィードフォワードとは、過去ではなく未来に焦点を当てるコミュニケーション手法である。

フィードバックよりもフィードフォワードが目的を明確にすると説明。

フィードバックよりもフィードフォワードがより建設的で、叱責的でないアドバイスを提供することができる。

実は注目されている「プロコーチ」とは一体どんな職業か…?メジャーリーガー「菊池雄星」のメンタルを支えた人物に聞いた

一流の起業家や組織が実践している【フィードフォワード】について、経営者・リーダーのためのコーチングを専門としているスペシャリストがわかりやすく解説。

『思い描いた未来が現実になる ゴールドビジョン』(PHP研究所)、『いつも結果を出す部下に育てるフィードフォワード』(フォレスト出版)など、ベストセラーのビジネス書を次々に発表し、メジャーリーガー菊池雄星選手のメンタル・マインドトレーニングを5年間つとめる久野和禎氏に、カードゲームや絵本作りに取り組む理由についても聞いた。

久野氏は、現在、岩手県花巻市に建設中の屋内野球施設King of the Hillを菊池雄星選手と共同で経営し、未来のメジャーリーガーである野球少年少女たちにも、カードや絵本を通して伝えようとしている考え方を教え始めている。

こんにちは。プロコーチ/講演家の久野和禎です。

「プロコーチ」というのは聞き慣れない仕事かもしれませんが、一流の経営者・CXOやスポーツ選手といった人たちをコーチングするのが私の仕事であり、これまで大手飲料メーカー、大手証券会社、大手IT企業など、さまざまな業種の企業の経営者や海外で活躍するスポーツ選手を担当してきました。

今回は、この場をお借りして、私のライフワークである「フィードフォワード」について解説したいと思います。

みなさんは、「フィードフォワード」という言葉をご存じでしょうか。

「フィードバック」というワードは定着してきた感がありますが、「フィードフォワード」については「知らない」という方もまだまだいらっしゃるかもしれません。端的に言ってしまえば、「フィードバック」の対象は「過去」であり、「フィードフォワード」の対象は「未来」であるという違いがあります。

本来、どちらも「未来」をよくするために活用されるコミュニケーション手法ですが、「過去」を振り返ることになる「フィードバック」の場合、手段が目的化する可能性が、「フィードフォワード」よりも高いと私は考えています。

みなさんにも、最初は「未来」のためのアドバイスのつもりで「こうしたらいいよ」とフィードバックを始めたら、芋づる式に言いたいことが出てきて、「あのときもああだったよな」とか「あのときはこうしたほうがよかったんだよ」と、「過去」に固執してしまった経験があるのではないでしょうか。

たとえば、失言やミスによって顧客を怒らせてしまった部下に対して、「なぜ、あんなことを言ったんだ。理由を教えてほしい」と言うだけならまだしも、「そういえば、君は半年前の別の案件のときも、相手からの信用を失う言動をしたじゃないか。あのときは私も一緒に謝りにいってなんとか事なきを得たが、同じ失敗を何度も繰り返すのはいかがなものか」と畳みかけてしまい、フィードバックが「叱責」になってしまうケースは意外に多いものです。

また、そもそも「フィードバック」は、するほうもされるほうも楽しくありません。上司や先輩から「過去」のことについて、あれこれアドバイスをもらうことは成長には欠かせない要素かもしれませんが、「フィードバックされるのが大好き」という人はあまりいないのではないでしょうか。

また、実は、「フィードバック」はするほうにも精神的な負担を強いることになります。多くの経営者や上司は、好き好んで苦言を呈しているのではなく、「できれば言いたくはないけれど、気づいてしまったので伝えよう」と伝えるのであって、嬉々としてフィードバックしているわけではありません。