ハッチの不具合「知らなかった」 カズ・ワン運航会社社長 ずさんな安全管理も一因か

AI要約

北海道・知床半島沖の観光船沈没事故に関連して、運航会社「知床遊覧船」社長が業務上過失致死容疑で逮捕された事件で、船体ハッチの不具合が直接的な原因とされているが、容疑者はそれを知らなかったと述べている。

事故報告書によると、不適切なハッチの状態が浸水を引き起こし、運航管理者である容疑者がしっかりと安全管理を怠った可能性が浮上している。

運輸安全委員会は安全管理の不備が事故につながったと指摘し、ハッチの部品の経年劣化や船体写真の浮き具合などを詳しく調査する方針。

ハッチの不具合「知らなかった」 カズ・ワン運航会社社長 ずさんな安全管理も一因か

北海道・知床半島沖の観光船沈没事故で、第1管区海上保安本部(小樽)に業務上過失致死容疑などで逮捕された運航会社「知床遊覧船」社長、桂田精一容疑者(61)が、沈没の直接的な原因とされる船体ハッチの不具合について「知らなかった」と供述していたことが19日、捜査関係者への取材で分かった。1管は同日、桂田容疑者を送検した。

運輸安全委員会が昨年9月に公表した事故調査報告書は、船首付近のハッチに不具合があり、ここからの浸水が沈没の原因と結論付けた。桂田容疑者は船の安全が確保できない場合、出航中止を船長に指示する「運航管理者」でありながら船体の不備を見落とし、放置した疑いがある。

1管は桂田容疑者のずさんな安全管理も事故につながった一因とみており、ハッチの部品が経年劣化で摩耗し、密閉が不十分なまま出航を判断した経緯などについて詳しく調べる。

事故は令和4年4月23日に発生。1管によると、当日は悪天候の予報が出ていたが、観光船「KAZU Ⅰ(カズ・ワン)」は午前10時ごろに北海道斜里町のウトロ漁港を出港。航行中は船体が高い波で繰り返し揺られ、ハッチの蓋が開き船内が浸水。午後1時半ごろに沈没し、乗客乗員26人が死亡・行方不明となった。

報告書によれば、事故の約1週間前に撮影された船体写真から、ハッチの蓋が約2センチ浮いた状態だったことが確認された。桂田容疑者は運航管理者に必要な3年以上の実務経験がなかったことも分かっており、運輸安全委は事故の背景に安全管理体制の欠如があったと指摘した。