大声で叱責、異動も認めず…裁判所書記官がパワハラ訴え、国賠提訴

AI要約

50代の男性書記官が岡山県内の裁判所で上司からパワハラを受け、精神的苦痛を訴え、国に損害賠償を求める訴訟を起こした。

パワハラによりうつ状態や適応障害と診断され、病気休暇を取得。異動を求めたが認められず、パワハラ行為は最高裁によって認定された。

国側は責任を否定し、調停が不成立となったため、書記官は提訴した。

 岡山県内の裁判所に勤める書記官が、上司から繰り返しパワハラを受け、精神的苦痛を受けたとして、国に330万円の損害賠償を求める訴えを17日、岡山地裁に起こした。職場復帰時の異動も認めず、「国に安全配慮義務違反があった」と主張している。

 訴状によると、50代の男性書記官は昨年4~6月、書類の文言の誤りや、一般の人からの電話対応などを巡り、ほかの職員がいる前で上司から大声で叱責(しっせき)を受けるなどした。書類を机にたたきつけられ激しく詰問されることもあったという。また、以前の職場に触れ「過誤が多いから裁判官も諦めて注意しなかったのでは」と能力や人格を否定する発言もあったという。ほかの上司はパワハラを認識していたのに放置した、とも主張している。

 書記官はパワハラが原因でうつ状態や適応障害と診断され、同6~8月に病気休暇を取得。職場復帰に際し、別の裁判所への異動を希望したが認められず、裁判所は関係者への事情聴取もしなかったという。

 同10月、最高裁に相談したところ、広島高裁を通じて指導があり、今年1月に上司のパワハラ行為が認定されたとの報告を受けたという。

 書記官は3月、国に損害賠償を求めて岡山簡裁に民事調停を申し立てたが、9月の調停で国側が責任を否定し、調停が不成立となったことから提訴に踏み切ったという。提訴に対し、書記官が勤務する裁判所側は取材に「本件について、コメントは差し控えさせていただく」としている。(上山崎雅泰)