似顔絵捜査 被害者への寄り添いが解決に導く from  大阪社会部

AI要約

大阪府警には全国でも珍しい専従似顔絵捜査班があり、似顔絵は依然として事件解決に貢献している。

捜査員は犯人の特徴を聞き出し、基本的な顔の構造をもとに似顔絵を作成する技術を持つ。

似顔絵は過去にも事件解決に貢献し、被害者や目撃者の記憶を頼りに犯人を特定する際に重要な役割を果たしている。

似顔絵捜査 被害者への寄り添いが解決に導く from  大阪社会部

ときに事件の犯人や行方不明者発見の決め手となる似顔絵捜査。大阪府警には全国でも珍しい似顔絵の専従捜査班「似顔絵係」が組織されていると聞いて興味を持った。取材を進めて感じたのは、防犯カメラの設置数や性能が向上する中、「カメラには映らない細部」までを描くことのできる似顔絵は、今でも事件解決に導く重要な力になることだ。

係をまとめる首藤(しゅとう)和正警部補(43)によると、捜査員は事件が起きるとすぐさま現場へ急行し、目撃者や被害者の記憶が鮮明なうちに犯人の特徴を聞き出す。完成した似顔絵を頼りに捜査班が捜索開始。「捜査員が犯人の特徴を描けるのは絵心があるからではない。『顔のひな型』を習得しているからだ」という。

例えば、日本人は比較的「団子鼻」が多いため、丸みを帯びた鼻をベースに描き始める。ほかにも目の横幅は顔の幅の5分の1、口の位置は鼻下と顎下の間3分の1など、捜査員はたたき込んだ「ひな型」に沿いながら完成に近づける。

実際に記者の顔写真をもとに、首藤さんに似顔絵を作成してもらった。左右で若干異なる目の形状、鼻の形など写真さながらの完成度に驚く。私が逃走中の身であれば、絵からすぐに見つかってしまうだろう。

実際に昨年4月、北摂地域で、男が女性に唾液をかける暴行事件が5件連続発生した。防犯カメラが不鮮明だったため、被害者女性の記憶を頼りに似顔絵係の捜査員が似顔絵を作成。数日後、警戒していた署員が絵の特徴と一致する男を発見し、摘発に至った。

首藤さんは警察学校などで講義を開き、若い世代へ似顔絵技術を伝える活動にも精力的だ。「全ての警察官が似顔絵を描けるようになれば事件の早期解決につながる」と強調する一方、「本当にすごいのはつらい記憶を思い出し、正確に伝えてくれる勇気ある被害者や目撃者」。被害者へ寄り添う気持ちがなにより大事だという捜査員の心情が伝わってきた。(大阪府警担当 鈴木源也)