吉田晴美なのか、それとも…小泉進次郎「改革路線」と総選挙で争う「立憲民主の新代表」は誰が最適か

AI要約

立憲民主党代表選挙には4人の候補が立候補し、それぞれが異なる政策を提案している。

自民党の総裁選挙との対立軸や政策差が注目されており、立憲民主党の方針が重要視されている。

各候補の経済政策や政権交代の戦略には違いがあり、次期総選挙に向けた展開が注目される。

吉田晴美なのか、それとも…小泉進次郎「改革路線」と総選挙で争う「立憲民主の新代表」は誰が最適か

立憲民主党の代表選挙が告示され、泉健太代表に加え、かつて代表を務めた野田佳彦氏と枝野幸男氏、江田憲司代表代行との調整で推薦人を確保した当選1回の吉田はるみ氏の4人が立候補した。野田氏と枝野氏は旧民主党政権の首相、官房長官を務めた重鎮で、4人の中で最年少は泉氏の50歳。仮に自民党が43歳の小泉進次郎氏を総裁に選んだ場合、清新さにやや劣るが、とはいえ本気で政権交代を実現するには国民に安定感を与える必要があるというのも確かだ。小泉氏は首相就任後は早期に解散、総選挙を行うと公言しており、今後、選挙戦を意識した代表選びになる。

総選挙を見通した場合、自民党との「対立軸」をどこに置くかが重要になる。すでに小泉氏は記者会見で「聖域なき構造改革」という言葉を使い、父・純一郎氏ばりの「改革姿勢」を打ち出している。選択的夫婦別姓や、ライドシェアの全面解禁、解雇規制の緩和を労働市場改革の本丸とし、来年法案を提出するとまで明言している。岸田文雄首相が就任直後に「いわゆる新自由主義的政策は取らない」と明言して、規制改革への言及を減らしたのとは対照的に、「改革」を前面に打ち出すことで独自色を出している。

こうした改革路線には自民党内でも抵抗があり、小泉氏がすんなり総裁に決まるかどうかはまったく分からない。だが、仮に小泉氏が首相となって、こうした改革姿勢を示して総選挙を戦うとした場合、立憲はこれに抵抗して「反改革」を打ち出すことになるのか。

枝野前代表が掲げる「ヒューマンエコノミクス」はやや分かりにくいが、会見では「アベノミクスで人間が切り捨てられた」と批判しており、規制改革路線には反対だと見られる。特に解雇規制の緩和には支援母体である労働組合も強く反対しており、枝野氏もこうした労働組合の意向に逆らうことはしないとみられる。

同じく、ライドシェアの全面解禁にも労働組合は反対で、枝野氏が代表になった場合、小泉氏の改革に、反改革の姿勢を打ち出さざるを得なくなると見られる。労働組合など立憲のコアの支持者はこうした「反改革」を支持すると見られるが、「解雇規制の緩和」を求めてきた企業経営者など保守層の支持は得られない。また、若者を中心に国民の一定数がライドシェアの全面解禁に賛成していると見られ、こうした層を選挙で獲得することも難しくなる。

泉氏は「日本を伸ばす」を基本コンセプトとして公表、「『成長VS分配』ではなく、立憲民主党は、人への投資、産業の育成、消費の活性化に前向きに取り組む政党」だとしている。立憲のコア支持者だけでなく、企業経営者などの支持を得るために産業の育成を掲げ、分配中心の労働組合政党からの脱皮を強調していると見ることもできる。だからと言って、労働組合の反対を押し切って、ライドシェアの全面解禁に賛成できるかは未知数。小泉自民党が「改革」を掲げた場合、総選挙ではやはり「反改革」の姿勢を打ち出さざるを得なくなるのではないか。

吉田氏は「教育 経済=国民生活の底上げ」としているが、経済政策の具体策に乏しい。全国一律最低賃金1500円や、消費税の時限的な5%への減税と食料品の非課税化は、党内でも意見が分かれるうえ、自民党との対決になった際に「ばら撒き」批判に耐えられるかという懸念もある。

この点、野田氏は具体的な経済政策や増減税についての発言は封印。徹底して「裏金問題のみそぎ」を追及し、「政治資金規制法の抜本改正」だけで政権交代を目指す姿勢を打ち出している。国論が二分しかねない具体的な政策についても封印して、とにかく自民党を裏金問題で追い込み、他党とも「裏金問題追及」の一点で幅広く連携して一気に政権交代を狙うという戦略だ。