漂う臭いは明らかに「それ」 宮城・白石の国道4号 尿入りペットボトル報道から1年 ポイ捨て今も

AI要約

尿入りペットボトルが捨てられる問題が報じられてから1年が経った。記事では、尿入りペットボトルの量が以前より減少しているが、依然として道路上に捨てられている状況が続いていることが報告されている。

中身入りのペットボトルの発見数は以前の半分以下に抑えられているが、休憩ポイントが少ないため上り線に集中している状況が依然として変わっていないようだ。

越河地区の地元住民からは、以前よりは問題が改善してきているとの声もあるが、県境近くなど目立たない場所では依然としてポイ捨てが続いている可能性も指摘されている。

漂う臭いは明らかに「それ」 宮城・白石の国道4号 尿入りペットボトル報道から1年 ポイ捨て今も

 昨年8月、河北新報白石支局が宮城県白石市越河(こすごう)地区の国道4号に尿入りペットボトルが大量に捨てられている問題を報じてから1年がたった。住民を悩ます排せつ物のポイ捨てはその後、どうなったのか。今春、支局に着任した記者が越河地区を再び歩いて検証した。(白石支局・剣持雄治)

[メ モ]尿入りペットボトルは長距離を走るトラック運転手が用を足した物とみられ、全国的な社会問題となっている。運転手のモラルとともに、休憩できる駐車場の少なさなど、厳しい労働環境が背景にあるとされる。全日本トラック協会(東京)はペットボトルのイラストが入ったチラシを作製し、車内のごみを不法投棄しないよう呼びかけている。

 8月30日午前9時から約2時間、1年前と同様に福島県境まで上り線が片側2車線となる3キロを調査した。日ごろは白石市中心部のごみ拾いを日課とする市議の角張大治さん(36)、妻の彩希さん(35)、陶芸家の竹田祐博(よしひろ)さん(44)と一緒に4人で歩いた。

 <運転手の方へ ゴミ捨て禁止>。今年1月に道路を管理する東北地方整備局仙台河川国道事務所が設置した標識が抑止力になったのだろうか。越河駅付近を福島県境に向けて出発した序盤は、液体入りのペットボトルはほとんどなかった。ただ、雑草の下に紛れ込んでいる菓子袋、たばこの吸い殻などが目立った。

 3人は通常のごみ、記者は中身入りペットボトルを担当。「数本で収まるんじゃないですかね」と、開始前に楽観した予想は打ち砕かれた。歩を進めると、20リットルのごみ袋がどんどん重たくなる。2キロほど歩くと、袋が満杯になった。

 ヤマ場は、2車線が1車線になる最後の数百メートル。歩道がなくなり、路側帯にペットボトルが転がる。2リットル容器で中身が3分の2ほど入っている大物もあり、「これはトイレ4回分ぐらいだろうか」とげんなりする。この区間の上り線だけで中身入り6本が見つかった。

 一本一本の臭いをかぐ気力は途中でなくなり、全てを「尿入り」とは断定できなかった。ただ、天然水のラベルに黄色い液体が入っていたり、カフェ・ラテのボトルの中身が妙に透明感があったり。中身を捨てる時に漂ってくる臭いから「それ」と強く推定できた。

 大治さんは「公衆トイレの臭いがする。(標識の設置など)道路がよくなっても、人(のモラル)がよくなるわけではない」と苦笑いした。

 結局、上り線には26本、下り線には7本、計33本の中身入りペットボトルがあった。上下線で中身入りが74本あった1年前の調査と比べると、被害は半分以下に抑えられている。

 ただ、仙台から福島まで休憩ポイントが少ないといった理由で、上り線に集中する状況は以前と変わっていないようだ。

 地元の越河第2自治会長の八島喜一さん(77)は「県境に近い人目につかない所は、ポイ捨てすることに抵抗がないのではないか」と分析しつつも、「(尿入りペットボトルが)以前より減ってきている実感はある」と語った。