「熱帯低気圧」でも安心禁物 大量の水蒸気、大雨に警戒

AI要約

台風10号は熱帯低気圧に変わるが、大雨をもたらす水蒸気は変わらず、警戒が必要。

台風は熱帯低気圧の中心付近の最大風速が17.2m以上を指し、勢力の表現は風速に基づいている。

1999年の玄倉川の事故を踏まえ、気象庁は危険性の誤解を招かないように台風の勢力表現を見直した。

 台風10号は9月2日にも熱帯低気圧に変わる予報だが、大雨をもたらす水蒸気を蓄えている状態は変わらない。暖かく湿った空気の流れ込みも続き、警戒が必要だ。過去には台風まで発達しなかった熱帯低気圧で多数の死者が出た例もある。気象庁の担当者は「熱帯低気圧だからといって安心はできない」と話す。

 気象庁によると、台風は熱帯低気圧のうち中心付近の最大風速が17.2m以上のものを指す。台風で気象庁が発表する「強い」「非常に強い」など勢力の表現は最大風速、「大型」などサイズは風速15m以上の強風域の広さが基準だ。水蒸気がもたらす雨の強さとは必ずしも一致しない。

 1999年8月には、関東の南岸から北上した熱帯低気圧が大量の水蒸気を運び、関東の山沿いを中心に1日で200~400ミリの大雨を降らせた。神奈川県山北町の玄倉川で、家族ら13人が増水で流され死亡した。

 気象庁は玄倉川の事故を踏まえ、2000年、「弱い熱帯低気圧」の使用をやめ、台風の大きさや勢力でも「小型」「弱い」などは廃止し、危険性が低いとの誤解を招かないようにした。