与那国町長が訪米、南西諸島防衛の重要性訴え 玉城知事の辺野古対応を「法治否定」と非難

AI要約

与那国島の糸数健一町長がワシントンを訪れ、南西諸島の防衛の重要性や自衛隊の役割について説明。

糸数町長は自衛隊の存在が地元住民に歓迎され、中国の脅威に対する重要な役割を果たしていると強調。

また、普天間飛行場の辺野古移設について最高裁判決を無視する玉城知事の対応を批判、中国による尖閣への挑発行為についても警戒を強めている。

【ワシントン=古森義久】日本防衛の最前線として自衛隊が駐屯する与那国島(沖縄県与那国町)の糸数健一町長がワシントンを訪問し、30日、米国政府関係者らに同島など南西諸島の防衛の重要性を伝えた。糸数町長はまた、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡る玉城デニー県知事の対応について「最高裁の決定を無視する法治国家の否定」だと批判した。

糸数町長は米国笹川平和財団などの招待で訪米した。30日に国防総省や国務省の米側関係者らと会見し、与那国島に2016年から駐屯する自衛隊は日本防衛や台湾防衛で抑止効果が高く、日米同盟の効用にも大きく寄与する、という考えを伝えた。米側からも同様の見解が強く表明されたという。

与那国島は近接の宮古島、石垣島などとともに南西諸島を構成し、日本の最西端の防衛線として注視されてきた。台湾までの距離が約110キロと日本領の中では最短で、中国による台湾や尖閣諸島(沖縄県石垣市)に対する軍事攻勢への対処の拠点となってきた。

糸数町長はワシントンで日本の企業やメディアの代表者との討論会にも臨み、与那国島の自衛隊が地元住民の多数派にも歓迎され、中国の脅威に対する「日本の国防、安保の最前線」として枢要な役割を果たしている、と強調した。自衛隊の存在が島の伝統文化を壊すかという疑問には「国家の存続や安全が最優先されるべきだが、文化への悪影響もない」と述べた。

米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡っては昨年9月、国の「代執行」に関する最高裁判決が出され、沖縄県が敗訴した。玉城知事がなお反対行動を続けていることについて、糸数町長は「最高裁の判決を無視することは日本国家の法治の否定だ」と述べて非難した。「沖縄県庁職員の間でも知事の方針に反対して辞職する人が増えたとの報道がある」とも述べた。

糸数町長はまた、今月中旬のメキシコ人男性による尖閣上陸について「推測だが中国側組織が日本政府の対応を測るために仕組んだ行動ではないか」と語った。中国軍機による26日の日本領空侵犯については「軍上層部の意図による計画的な行動でやはり日本側の出方をみるためだと思う」と述べた。