防衛省、退役装備を長期保管へ 継戦能力強化、74式戦車対象 概算要求

AI要約

防衛省は使用を終えた装備品を廃棄せず、長期間保管する運用を始め、2025年度予算に経費7億円を計上した。将来的には対象を拡大し、再利用を想定している。

ロシアのウクライナ侵攻の影響を受けて、自衛隊も旧式装備の活用を模索。旧式の兵器でも一定の役割を果たせる可能性に注目している。

自衛隊は新たに「モスボール」と呼ばれる装備品保管運用を始め、能力を発揮できる旧装備を対象とし、部隊改編時に補充できる態勢を整えている。

防衛省、退役装備を長期保管へ 継戦能力強化、74式戦車対象 概算要求

 防衛省は使用を終えた装備品を廃棄せず、長期間保管する運用を始める方針を固め、2025年度予算の概算要求に経費7億円を計上した。

 この対応は軍事分野で通称「モスボール(防虫剤)」と呼ばれ、継戦能力を強化するのが狙い。現役装備品を大量に損耗した際の再利用を想定している。23年度に運用を終えた74式戦車などから始め、将来的に対象を拡大する。

 ロシアのウクライナ侵攻の長期化に伴い、両国は旧ソ連時代の旧式戦車などを戦場に投入。自衛隊幹部は「最新技術を搭載していない旧式の兵器でも一定の役割を果たしている」と分析する。

 自衛隊はこれまで、不用となった装備品を原則廃棄してきた。新たに始めるモスボールは「部隊改編などで使用しなくなったものの、能力を発揮し得る装備品」を対象とし、25年度は74式戦車30両程度に加え、90式戦車や多連装ロケットシステム(MLRS)を保管する。既存施設内に倉庫を整備し、部隊に補充できる態勢を構築する。

 継戦能力の確保に向けては、弾薬・ミサイルの備蓄強化に6502億円を求めた。海上自衛隊舞鶴基地(京都府)、佐世保基地(長崎県)、鹿屋基地(鹿児島県)、陸上自衛隊瀬戸内分屯地(鹿児島県)で火薬庫新設の適地を調査する。