育休の大きな問題点を男性取得者が指摘 「本質的には育休を取れる期間を延ばしていかないと意味がない」

AI要約

男性の育児休業の取得率が過去最高に達し、政府の目標にはまだ届かない現状が報告されています。

識者の見解では、育休を取得する期間を延ばすことが重要であり、短期間の育休では本質的な変化は難しいと指摘されています。

さまざまな育休支援策や取り組みについての意見が紹介され、育休取得後の課題や育児との両立についても議論されています。

育休の大きな問題点を男性取得者が指摘 「本質的には育休を取れる期間を延ばしていかないと意味がない」

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜6:59~)。「FLAG NEWS」のコーナーでは、調査開始以来、過去最高水準を記録した“男性の育休率”について取り上げました。

◆男性の育児休業の取得率が過去最高に

厚生労働省が発表した雇用に関する調査によると、企業などで働く男性の2023年度の育児休業の取得率は30.1%。前回調査より13ポイント高く、1993年の調査開始以来最高でした。2022年4月から妊娠・出産を申し出た労働者に対する育休制度の周知や意向の確認が事業主に義務付けられたことなどが背景にあると見られます。

しかし、政府は2025年までに男性育休取得率を50%にする目標を掲げており、それにはまだ及びません。また、男性育休の日数は、1~3ヵ月未満が約3割と最も多く、次いで5日~2週間未満が約2割でした。

◆男性育休の現状を受けて、識者の見解は?

以前、自身も育休を取得したことのある株式会社トーチリレー代表の神保拓也さんは、「育休の取得率を追いかけることをKPI(評価指標)にするのも重要だが、本質的には育休を取れる期間を延ばしていかないと意味がないと思う」と自身の考えを述べます。

というのも、3日間や1週間など短期間育休を取る人が増え、たとえそれで育休取得率が100%になっても親の負担は減らず、全く楽にならないから。神保さんは、「短期集中型というよりは長期継続型の育休、例えば子どもが5歳になるまでの5年間、毎朝10時出勤や15時退勤にし、朝晩の家事育児を5年間継続して手伝うなどしていかないと、本当の意味での改善にはならないと思う」と主張します。

この意見にキャスターの堀潤も同意し、かつて体験したアメリカの育休事情について紹介します。以前、堀がアメリカの大学に1年間行っていた際、同僚の研究者が育休中と言いながら研究室に来ており、それはなぜなのか聞いてみると、「(仕事をするかどうかなど)自分でフレキシブルに選べるのが育休なんだ」と話していたとか。その後、2~3年は出勤する・しないを自由に決めて働いていたそうで「当時、日本と全然違うなと思った」と振り返ります。

一方、臨床心理士のみたらし加奈さんは、愛知県庁での取り組みを引き合いにし、「子どもが生まれる男性職員が先輩職員から子育て体験談や仕事の引き継ぎ方を学ぶ研修会があったり、あとは育休取得者の業務応援を担った同業種の職員に手当が出たりするところもあって、そういうことも育休の取りやすさに関係していると思う」と手厚いサポートも育休取得の要因になるとしつつ、さらには育休後の課題についても言及。

「(臨床心理士として)相談を受けるなかで、育休の終わりに向かって不安を抱くことが多い。それは(育休を取得した)申し訳なさを抱える方もいるし、職場に復帰しても育児は終わらない、そこをどう両立していくか不安な方もいる。そうした不安をカバーするのが今年可決された『こども誰でも通園制度』だと思うが、これも保育士不足や制限時間、財源確保など問題はまだまだあると思うので、育休だけでなく復業(職場復帰)した後の育児との両立というところもやっていかないといけない。少子化対策は抜け穴が多い」と指摘していました。