神戸高2刺殺「加害者の親にも監督責任」 賠償求める訴訟で遺族主張

AI要約

神戸市北区で2010年に高校生が殺害された事件で、遺族が損害賠償を求める訴訟が行われた。堤将太さんの父が加害者の両親も責任を追及し、裁判所に苦しい心情を訴えた。

神戸地裁判決では、事件当時17歳の男が堤さんを殺害したことが判明。男の両親は監督義務を怠ったとして遺族に責任を追及されている。

被告側は事件の予測が困難であったと弁明し、メディアへのコメントは避ける姿勢を見せている。

神戸高2刺殺「加害者の親にも監督責任」 賠償求める訴訟で遺族主張

 神戸市北区で2010年、高校2年の堤将太さんが殺害された事件で、殺人罪で懲役18年の判決を受けた事件当時17歳の男(31)=控訴中=と両親を相手取り、遺族が約1億5千万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が22日、神戸地裁であった。

 堤さんの父・敏さんは法廷で「将太の命を奪い、私たちを苦しめ続けたことの償いとして、加害者とともに両親も責任を負うべきではないのか」と陳述。裁判所に対し「犯罪被害者、遺族が直面させられる過酷な状況や苦しい心情を理解してほしい」と述べた。

 殺人罪に対する神戸地裁判決によると、男は10年10月4日夜、同市北区の路上で堤さんをナイフで刺すなどして殺害。約11年後の21年8月に逮捕された。堤さんと面識はなかったとされる。

 訴状によると、男の両親は事件前、男の暴力傾向が深刻化し、ナイフを購入したことなどを知りながら、監督義務を怠ったと遺族側は主張する。

 さらに両親は事件直後、男が事件に関わった可能性を認識しながら、事実確認をしないまま千葉県に転居させ捜査を困難にさせた、としている。

 原告代理人によると、被告側は答弁書で、千葉への転居は事件前から計画され、捜査妨害ではないと主張。男の暴力性を認識していたが、凶器などを持ち出すことはなく、事件は予測できなかった、としているという。

 被告側の代理人弁護士は取材に対し「この件に関してメディアに話す予定はない」と話した。(原野百々恵)