「交差点での渋滞」なぜ起きる?悪気なく周囲をジャマするNG行為とは

AI要約

日本は渋滞に悩まされている国の一つであり、渋滞解消に取り組んでいるにもかかわらず問題が解消されていない。

交差点における歩行者の行動が渋滞の原因の一つであり、歩行者が信号を無視して横断することが多い。

解決策として歩車分離式の信号や立体交差などの取り組みが必要であり、歩行者も法律を守ることが重要である。

「交差点での渋滞」なぜ起きる?悪気なく周囲をジャマするNG行為とは

 世界的に見ても、日本は特に「渋滞」に悩まされている国の一つです。国土交通省などが渋滞解消に取り組んでいるにもかかわらず、道路の混雑はなぜ解消されないのでしょうか。その要因を、前後編に分けてお届けします。前編のテーマは「一般道」。交差点で人々が悪気なくやっているNG行為とは?(モータージャーナリスト 諸星陽一)

 ※本記事は前後編の前編です。高速道路で渋滞が起きる理由について解説した後編はこちらから

● たとえ悪気がなくても 歩行者の「まだ間に合う!」が積み重なると…

 夏休みにクルマで出かけて、あまりにひどい渋滞に閉口した方も多かったのではないでしょうか? 実は、日本の渋滞は世界的に見ても深刻なレベルです。母国の交通量によっては、訪日外国人のドライバーがびっくりすることも多くあります。

 なぜ、こんなに長い渋滞が起きるのでしょうか。また、根本的な解決方法はないのでしょうか。今回は一般道で渋滞が起こる理由について、筆者なりの見解をお伝えします。

 筆者がここ10数年にわたって感じている課題に「交差点では右折よりも左折の方が混む」というものがあります。

 意外かもしれませんが、その主な原因はドライバー側ではなく歩行者側にあると筆者は考えます。

 右折の場合、先頭車両は交差点の中心付近で待機できますが、左折の場合は横断歩道の直前で一時停止し、歩行者が通り過ぎるのを待たねばなりません。この際に「歩行者がいつまでも渡っている」ケースがあると感じます。歩行者用信号が点滅を始めてから渡り始め、赤に切り替わっても(反対側の信号が青になっても)渡り続けている人も見られます。

● 悪気なく周囲をジャマする 歩行者のNG行為をなくすには?

 ですが、道路交通法施行令の第2条では、歩行者用信号が点滅を始めた際の行動について、次のように規定されています。

 「歩行者等は、道路の横断を始めてはならず、また、道路を横断している歩行者等は、速やかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならないこと。」

 これを無視して、小さな子供の手を引いた母親が「早くしなさい」と言って急がせながら点滅中に横断歩道を渡り、結局時間がかかってしまう例も見かけます。クルマに気を使っているのは理解できますが、厳密に言えば法律違反です。

 とはいえ、たとえ違反者であっても歩行者を保護しなければならないのが日本の道路交通法の運用です。左折車は歩行者がいなくなるまで待たなくてはなりませんし、ホーン(クラクション)を鳴らしてどいてもらうわけにもいきません。かくして左折車は長く待たされ、それが積み重なった結果、左車線が渋滞するわけです。

 では、これを解消するにはどんな取り組みが必要なのでしょうか。

 歩行者とクルマの信号が別になる「歩車分離式」にする。交差点を立体構造にして、右左折の待機そのものを解消する。横断歩道を交差点から離れたところに設置し、左折車が入れるバッファを作る。

 これらの手段が効果的だと思われますが、「歩行者もクルマ並みに法律と信号を守ること」が最も手っ取り早い解決策なのは間違いありません。