なぜ夫婦は「ちょっとしたこと」でケンカするのか…問題を解決する「シンプルな思考法」

AI要約

新書『世界は経営でできている』では、経営学者・岩尾俊兵氏が人生のさまざまなシーンに経営が潜んでいることを示し、気づかないと不合理や不条理がもたらされると警告している。

家庭における価値創造の喪失と対立に焦点を当てた例を挙げつつ、家庭も経営として捉えることで問題解決が可能であることを示唆している。

目的が同じでも途中経路が異なることを理解し、他者が同じ目的を追求する仲間であると認識すれば、さまざまな解決策が生まれることを説明している。

なぜ夫婦は「ちょっとしたこと」でケンカするのか…問題を解決する「シンプルな思考法」

誰もが経営の現場を持っているというメッセージを発する新書『世界は経営でできている』がベストセラーになっている。気鋭の経営学者・岩尾俊兵氏は、仕事や家庭、恋愛、老後など人生のあらゆるシーンに経営が潜んでいることを鮮やかに示し、そのことに気づかないと、人生の不合理や不条理がもたらされつづけると主張している。

『世界は経営でできている』では家庭や仕事、就活、恋愛など幅広いトピックを扱いました。「家庭は経営でできている」のパートなんかは、主婦の方はもちろんのこと、意外と会社経営をされている方が共感してくださることが多いです。要するに、家庭における手段と目的の転倒や目的の喪失の話で、これこそが経営なんです。本来は、奥様と子どもも幸せにしつつ自分も幸せになることが家庭の目的のはずなのに、価値創造の発想を持てないばかりにそれに至るためのさまざまな対立を解消できずに不幸になってしまうことがよくある。そこにはお金の話なんて出てきません。

たとえば、男女逆の場合もありますが典型的な例だと、奥様が夫に「家が片付いてなくて嫌だ」「なんでこんなにコップを散乱させるのよ」と怒る。夫としては「なんでコップを散乱させちゃいけないの?」「そんなの後でやろうと思ってたんだよ」ということで喧嘩になる。これはまさに価値創造を忘れて目的を見失って対立している状態です。

でも実はどちらも究極は同じ目的を持っているんです――そう言うとみんな意外に思うのですが――奥様は片付けなきゃいけないものが散らばってると気が休まらない、家の中でリラックスできないのは嫌だ。つまり、目的は家の中でリラックスしたい、だからその手段として散らかった部屋の状態をなくしたくて夫に怒る。一方で夫も家ではリラックスしたいと考えているかもしれません。同じ目的を持っていても、その実現の途中経路が違うだけです。夫は家では余計なことを考えたくないので、コップを使ったらとりあえず置いておいて、今は何も考えずリラックスして後で一気に片付けたいなどです。

どっちも目的は一緒かもしれないと気づくことができれば、さまざまな解決法が出てくるでしょう。たとえば、私は首から水筒みたいなコップをぶら下げて、それで飲み物を飲むようにして問題解決しました。これがアホみたいと思う場合、お金に余裕がある家庭なら週一回片付け業者に来ていただくのでもいいでしょう。環境という別の問題が生まれますが紙コップで水を飲んである程度使ったら捨てるといった方法でもいいかもしれない。あらかじめ散らかす部屋と散らかさない部屋を決めておくのもいいでしょう。「他者は敵じゃなく同じ目的を追求する仲間なのだ」と考えれば、本当は解決策など100も1000も出てくるはずです。卑近な例ですが、家庭を問題解決の場として捉え直すと、余計な喧嘩を減らすことができるわけですね。