模試は悪いのに、過去問だけ異様にデキたら要注意!残暑の中学受験怪談「魔の9月」の乗り切り方

AI要約

夏休みが終わると、塾関係者が「魔の9月」と呼ぶ新学期がやってくる。中学受験をする子どもの中に「ごまかし(ズル)」をするケースが目立ち、それに親が悩むケースが増える。

小6の9月は、過去問演習が始まること、合格判定のついた模試を受けることで現実を知り、「こんなはずではなかった」という焦りが出てくる。

過去問演習で合格点に届かず、子どもが「ごまかし(ズル)」を始めるケースが出てくる。親が注意する必要がある。

模試は悪いのに、過去問だけ異様にデキたら要注意!残暑の中学受験怪談「魔の9月」の乗り切り方

 夏休みが終わると、塾関係者が「魔の9月」と呼ぶ新学期がやってくる。中学受験をする子どもの中に「ごまかし(ズル)」をするケースが目立ち、それに親が悩むケースが増えるのだ。ズルの背景と3つの対策を指南する。(国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー 渋田隆之)

● 親子のトラブルが急増する「魔の9月」は 子どもの「ごまかし(ズル)」に注意!

 こんにちは、渋田隆之と申します。塾講師や塾の経営などで中学受験に携わること33年、約2万人の生徒や保護者と関わらせていただきました。現在も、現場の最前線で授業や面談、講演会や執筆をさせていただいております。机上の空論ではなく、超リアルで、すぐに役立つ記事をお届けできればと思っています。

 小6の9月は、過去問演習が始まること、合格判定のついた模試を受けることで現実を知り、「こんなはずではなかった」という焦りが出てきます。さらに、夏期講習は塾だけの生活で良かったのが、小学校では学校行事も色々とあるので時間に追われる生活となるでしょう。

 塾関係者には、「魔の9月」という人もいます。

 イライラの気持ちは伝染するので、家庭の中でも衝突が増えてしまいます。親が子どもと何とかしてコミュニケーションを取ろうと、励ましたりなだめたり、怒ってみたり……いろいろと試行錯誤しても、子どもがシャッターを降ろしてしまうこともあります。秋になったのに怪談のような話ですが、残念ながらまだ先が続きます。

 今回は、魔の9月に増えてくる「ごまかし(ズル)」の理由と3つの対処法をお伝えします。

● 過去問演習で合格点に届かず 「ごまかし(ズル)」を始める

 中学受験では、9月は過去問演習を始めたばかりの時期なので、合格点までかなり距離がある状況です。子ども自ら、自分の気持ちのバランスを取るためや、親や塾に悪い点数を報告したくないという理由から「ごまかし(ズル)」をしてしまうケースが残念ながら一定数出てきます。

 テスト中に隣の子の答案を見るなどのカンニングを発見するのは簡単ですが、家庭で行う過去問の「ごまかし(ズル)」の方法はさまざま。大人の側は発見できない可能性が大きいです。

 「解答をまる写しする」「答えを書き直す」「演習時間を伸ばす」「採点を誤魔化す」など、やり方はたくさんあります。

 模試の成績が一向に上がらないのに、過去問の点数だけが異様に高い場合は、要注意。親が不思議だなぁと思ってそのままにしていて、「ごまかし(ズル)」が発覚するのは数ヵ月先になってしまった……ということも起こり得る話です。

 今まで「ごまかし(ズル)」したことがなかった(と思っていた)親は、ショックを受けることになるでしょう。10月以降になると、受験までの日数のカウントダウンの焦りと相まって、「ズルをするなんて人として間違っている」「中学受験をしたせいで、この子の性格が曲がってしまった」という相談も増えてきます。

 そんなとき、塾の先生から「過去にもそんな生徒は何人もいました。みんな改善して、入試に向かいましたよ。あまり大きな心配は要りません」「ごまかしの行動が出てきたのは、プレッシャーが原因です。あまり問い詰めないようにしてください」などとアドバイスされるかもしれません。

 それでも、「まさかうちの子が……」「子どもに裏切られた」という動揺は隠せないものです。

 最初は小さな「ごまかし(ズル)」ですが、放っておくと大きな問題にも発展しかねません。上手に解決していかないとストレスから体調にも影響が出てしまいます。塾に足が向かなくなったり、過去問が手につかなかったり、目標にしていた模試を受けられなかったり。受けられたとしても散々な結果だったりして負のスパイラルにハマってしまうことも。

 夏期講習では、塾に通う親子の関心ごとの一つである「模試」や「クラス移動」もないため、良い調子で頑張っていたかもしれません。

 秋になって、お子さんとのトラブルが増え、勉強面も急に失速したように見えるので、「魔の9月」と感じるのも大げさなことではありません。

 では、どうすれば良いのでしょうか。オススメの対策は3つあります。

 (1)ごまかし(ズル)を「想定内の出来事」にする

 この記事を読んでいるあなたは、すでに答えの一つにたどり着いています。子どものごまかし(ズル)を想定しているのと、想定していないのでは、実際に直面した際のショックの大きさも違ってくるでしょう。

 塾の入試報告会で受験生の先輩親子の話を聞いたり、配られた合格体験記などを読んだりすると、順風満帆な家庭が多いと感じられるかもしれません。しかし、実際にはみんな悪戦苦闘、試行錯誤の毎日です。「うちの家庭だけ」が大変な状況だという気持ちになる必要は全くありません。