横領、着服…なくならぬPTA会計の不正

AI要約

小中高校のPTA会計における不祥事が相次いでおり、過去10年で53件の不正が報じられている。保護者や事務職員による横領や不正使用があり、総額1千万円以上の事件も少なくない。

公務員の処分として明るみに出るケースが多いが、保護者による不正も存在する可能性がある。学校事務職員が給食費とPTA口座を同時に管理しているため、不正が見つけにくい状況にある。

公認会計士の岩崎淳さんは、不祥事には特定の構造があり、不祥事のトライアングルが形成されやすいと指摘している。

横領、着服…なくならぬPTA会計の不正

 小中高校のPTA会計を管理する口座から不適切にお金が引き出されたり、使途不明金が見つかったりする例が相次いでいる。過去10年に朝日新聞が報じただけでも全国で53件あり、うち少なくとも6件は不正総額が1千万円を超えていた。

 報じられているのは、教職員の横領など公務員の処分事案として公表された例が多く、会計を担当する保護者の不正事例は表面化していない可能性がある。学校の事務職員が給食費などと同時にPTA口座も管理し、合算して報じられたケースもあるため、PTA会計の不正は把握しづらいのが実情だ。

 PTA会計に詳しい公認会計士の岩崎淳さんは、会計上の不祥事には、「動機」「機会」「正当化」というトライアングルの構造があり、「不祥事のトライアングルが起きやすい」と指摘する。

 朝日新聞が報じた記事のデータベースで、2014年4月1日以降を指定し、「PTA」と「流用」「横領」「着服」「使途不明金」「不適切な支出」の五つのキーワードを組み合わせて検索。記事内容とあわせて抽出した。

 判明している範囲でPTA会計からの支出額が最多だったのは、16年に熊本県立高校で発覚した約2850万円。同校のPTAが会計担当として雇っていた職員が、生活費などに使ったことを認めた。職員は02年から会計を一人で担当していた。また、22年の記事では、京都市立高校で口座を管理していた学校事務職員が、学校へのピアノの寄贈などのためにPTAで積み立てていたお金約2600万円を、生活費や借金返済などにあてるため、9年にわたり着服していたと報じている。

 各学校のPTAが加盟する地域の上部団体でも使途不明金が見つかるケースが相次ぐ。19年には、長崎県公立高校PTA連合会など三つの任意団体の事務局で約3千万円の使途不明金が判明。23年度にはさいたま市PTA協議会で約1100万円、練馬区小学校PTA連合協議会(東京都)で約250万円の不適切な引き出しが発覚し、今年1月には神奈川県PTA協議会で約640万円の使途不明金が見つかった。