被害者狙う〝第2の詐欺〟 「着手金ビジネス」サイト乱立 問われる弁護士業界

AI要約

弁護士を名乗り詐欺被害の回復をうたい、被害者から着手金を徴収していたグループが摘発された。

詐欺まがいのビジネスを行う非弁業者がインターネット上で増加しており、弁護士業界に警戒ムードが広がっている。

弁護士の資格を利用した犯罪に対する処分が甘いことが業界を助長している。

現役弁護士の名義を借り、詐欺被害を回復できるなどとうたって業務を請け負っていたとして、弁護士を含むグループが警視庁に摘発された。インターネット上には同様の手法で詐欺被害者から着手金を徴収する詐欺まがいのビジネスをうたうサイトが乱立する。弁護士会は警戒を強めているが、犯罪に加担しても、弁護士資格を無期限に剝奪する制度はなく、業界の自浄能力が問われている。

■半年で5億円集金

「詐欺被害の返金は弁護士にお任せください」

元衆院議員の弁護士、今野智博被告(49)=弁護士法違反罪で起訴=の弁護士事務所のサイトには、こんなキャッチコピーが掲げられていた。

警視庁捜査2課によると、サイトは今野被告の運営ではなく、名義を借りた男女ら。資格がないのに弁護士業務を行う「非弁業者」だ。14日には、メンバー集めや拠点確保を担い、行方をくらませていた主犯格の湊和徳容疑者(40)を逮捕した。

特殊詐欺や交流サイト(SNS)型投資詐欺、ロマンス詐欺などの被害者からの回復をうたって相談を募り、着手金を受け取る。詐欺グループ側の口座凍結手続きなど、弁護士業務を違法に行っていた。

令和5年9月~6年3月の約半年間で、詐欺被害者約900人から計約5億円を集金。今野被告にはその約1割が支払われていた。しかし、「被害者に被害金が返還された実績はほぼなかった」(捜査関係者)。

■見えない実態

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ネット上にはこんな文言で被害金返還をうたうサイトがいくつもある。東京弁護士会によると、これらは大部分が非弁業者による詐欺まがいのビジネスという。

「非弁提携弁護士対策本部」の弁護士、小早川真行氏は「債務整理などに関わることが多かった非弁業者がここ3年ほどで着手金ビジネスにシフトしているようだ」と分析する。

日本弁護士連合会(日弁連)の集計では、非弁業者との提携によって懲戒処分を受けた弁護士は、令和元年3件▽2年10件▽3年3件▽4年3件▽5年4件-と推移している。一方で、どのくらいの弁護士が非弁業者に手を貸しているかなど実体は見えないのが実情だ。

■処分の甘さが助長