津久井やまゆり園事件から8年。園を出た人のその後を聞く

AI要約

知的障害者の地域での暮らしを考えるシンポジウムが開かれ、事件後に地域での暮らしを始めた知的障害者の様子や課題が語られた。

父親たちが子供の変化に驚きつつも、地域での暮らしに対する期待や支援の大切さを訴えた。

施設から地域への移行が知的障害者の自立や幸せに繋がることを示唆するエピソードが紹介された。

津久井やまゆり園事件から8年。園を出た人のその後を聞く

■知的障害者が施設ではなく、地域で暮らせる社会の実現へ

相模原市にある知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、1人の男によって、入所していた19人が殺害された事件から8年が経ちました。

7月27日、「津久井やまゆり園事件を考え続ける会」主催で、やまゆり園を出た人たちのその後を考えるシンポジウムが開かれました。

知的障害者が施設ではなく、地域で暮らせる社会の実現がテーマです。

最初に紹介するのは、事件後に地域での暮らしを始めた一人で、重い知的障害と自閉症がある尾野一矢さんです。

尾野さんは4年前から、重度訪問介護のサービスを受けながら、1人でアパートで暮らしています。

シンポジウムでは、父親の尾野剛志さんが登壇しました。

尾野さんは事件当時、園の家族会の会長で「親がみられないのだから、施設に入っていれば、幸せだ」と考えていたと話しました。

「犯人に刺された息子は一命をとりとめましたが、息子との向き合い方を考え直した」という尾野さん。

「以前と今の一矢は180度違う」と、一矢さんと介護者が、江ノ島に出かけた時の写真などを見せながら、「施設は、自分の意思では何もできなかったんです。それが、いま自分で、自分の思いのまま。『ご飯何食べたい』って聞くと、鰻とか、カキフライとかって。そうすると、介護者さんが『一緒にじゃあ食べに行こう』って連れて行く。そういうふうにちゃんと意思を確認して、利用者さんの思うがままに生きていける。それが普通の暮らし、地域移行、自立です。皆さんがこうやって応援してくれてれば、できるんですよ」と一気に語りました。

■子供の変化、そして課題

もう一人、平野和己さんが客席にいました。父親の平野泰史さんが登壇し、「以前は、こんなふうに30分以上、じっと座っているなんて全くできなかった。驚いている」と、最初に話しました。

和己さんは、事件の2年後、地域のグループホームに移りましたが、大声をあげたり、何かに強くこだわる、自他を傷つけたり、といった「行動障害」が出ることから、別の入所施設に移っています。