「部活地域移行」協議会設立、広域で合同練習 岐阜県揖斐3町連携、チーム戦の出場可能に

AI要約

岐阜県揖斐郡の3町が部活動の地域移行を進め、合同で活動する取り組みについて協議会を設立。部員数が増え、団体戦への出場も可能になった。

一部種目では各町で部員を合同で受け入れ、希望する部活動を続ける環境を整備。県内でも珍しい広域的連携の取り組み。

3町の教育長らが参加した協議会で規約や今後の方針を確認。少子化に対応し、子どもたちの活動場所確保を目指す。

「部活地域移行」協議会設立、広域で合同練習 岐阜県揖斐3町連携、チーム戦の出場可能に

 中学校の部活動を地域や民間団体に委ねる「地域移行」が各地で進む中、岐阜県揖斐郡の3町は7月、一部種目で部員を各町で合同で受け入れ、希望する部活動を続けられる環境の整備を目的にした協議会を設立した。8月から一部で移行が始まり、合同で活動することにより団体戦への出場も可能となった。3町によると、協議会を設立して受け入れ体制を構築し、広域的に連携する取り組みは、県内でも珍しい事例という。

 今月上旬、大野町民武道館(同町黒野)では、「大野」や「池田」の文字が書かれた胴着を着た部員たちが、真剣なまなざしで投げ技や寝技に取り組んでいた。大野町で合同で行われている柔道には、同町の4人に加え、池田町から5人が参加。大野中学校2年の川瀬旬哉さんは「大野町以外の人と練習することで、実力が上がっていると感じる。全国大会出場を目指したい」と汗を拭った。

 少子化による受け皿確保や教職員の負担軽減などを目的に、2025年度末を目標に各自治体で部活動の地域移行が進められている。揖斐郡の3町では一部の種目で部員が不足し、個人戦は出場できるが、チームを組めないなどの課題があった。以前から合同で活動していた種目があったこともあり、23年から各町の担当者が現状を報告し、報酬や会費について協議を重ねてきた。ソフトボールが揖斐川町、柔道は大野町、サッカーは池田町の各地域クラブが受け入れている。

 部員数が増えた効果を実感する声も。柔道の主任指導者を務める松久好勝さんは「少ない部員数だと団体戦への出場が難しく、また、組み合うと体格が違うのでけがの危険もある」と指摘した上で、「同じような実力や体格の人と練習ができるようになり、子どもたちの成長につながる。いろんな人の柔道を見ることもできるので、合同での活動は大変ありがたい」と強調する。

 7月に大野町役場で行われた協議会の設立総会には、3町の教育長らが参加。規約や今後の方針、救急対応を確認した。また、別の種目でも部員数が少なく、団体戦への出場が危ぶまれるため、今後、合同で活動する可能性があることも示された。協議会の会長を務める揖斐川町の香田静夫教育長は「少子化が今後も進むことが予想される。3町で連携して、子どもたちの活動できる場を確保していきたい」と語った。