立民、首相不出馬で自民の「刷新感」警戒 党代表選の埋没懸念

AI要約

岸田文雄首相が総裁選不出馬を表明し、立憲民主党代表選も注目される中、それぞれの候補者選定と党内動向が加速する見込み。

泉健太代表と枝野幸男前代表が立民代表選の主要候補として注目され、泉氏は首相の総裁選不出馬に警鐘を鳴らす一方、枝野氏は進取の気風を示唆。

立民代表選には野田佳彦元首相や重徳和彦衆院議員らの出馬期待もあるが、一方で「新旧トップ対決」の興味も広がる可能性。

岸田文雄首相(自民党総裁)の総裁選不出馬表明は、同時期に行われる立憲民主党代表選(9月7日告示、同23日投開票)の戦況にも影響を与えそうだ。新たなトップのもとで次期衆院選に臨むことがほぼ確実な自民に、「刷新感」という追い風が吹くことは必至といえる。総裁選の構図が定まっていくのを横目に、代表選に向けた候補擁立などの動きも加速していくことになりそうだ。

立民代表選は泉健太代表の再選出馬が有力視され、近く正式に立候補を表明するとみられる。枝野幸男前代表は既に出馬の意向を明らかにしており、現時点では両氏が軸となる方向だ。

泉氏は14日、首相の総裁選不出馬表明を受けて「党が危機になると首相を代え、過去を忘れてもらう。そういう手法に国民が引っかかってはいけない」と記者団に強調した。

一方、枝野氏は、総裁選不出馬は「織り込み済み」だったとX(旧ツイッター)に投稿し、「私として、やるべきことを粛々と進める」と表明した。

代表選に向けては、野田佳彦元首相、重徳和彦衆院議員らの出馬に期待する声もあるが、大きな流れにはなっていない。対照的に自民総裁選は多様な人材が競り合う展開も予想される。泉氏は記者団に「総裁選と代表選は分けて考えられるべきことだ」と述べたが、立民の「新旧トップ対決」が国民の目に色あせて映る可能性は否定できない。

重徳氏が率いる党内グループ「直諫(ちょっかん)の会」に所属する中堅は14日、総裁選への埋没を懸念して「代表選にいろいろな人が出て、層の厚さを示さなければならない」と語った。

ただ、同会だけでは出馬に必要な推薦人20人は確保できないとして、江田憲司元代表代行、馬淵澄夫元国土交通相らグループ外のベテランを念頭に「一緒になって『第三極』の候補を立てる動きもありうる」と予測した。

総裁選の構図が固まっていけば、泉、枝野両氏以外の人物の擁立に向けて党内グループや有力議員が歩み寄りを始める可能性もある。(深津響)