「バッテリー修理8800円~」のはずが請求額は10万円超…弱みに付け込む「悪徳ロードサービス」の卑劣な手口

AI要約

車にトラブルが起きた際、高額請求される被害が増加している。任意保険やロードサービス、JAFを利用するべきだ。悪徳レッカー業者による被害も続出し、過去に有罪判決が下されたケースもある。

被害者は高額請求に対して抗議しても結局支払わざるを得ない状況に陥っている。無料ロードサービスやJAFの利用でこのような被害を回避できる。

業者との交渉で威圧されたり、不当な見積もりを提示されたりする被害者が後を絶たない。正規のロードサービス機関を利用することが重要だ。

ドライブ中に車にトラブルが起きたらどうすればいいか。自動車生活ジャーナリストの加藤久美子さんは「ネットで調べた業者に高額費用を請求される被害が相次いでいる。まずは、契約している任意保険や自動車共済に付帯されているロードサービス、あるいはJAFに頼るべきだ」という――。

■被害者170人以上の悪徳レッカー業者に有罪判決

 近年、ロードサービスで高額請求された被害者が急増している。国民生活センターのまとめによると「インターネットで依頼したロードサービス」に関する同センターへの相談件数は2020年度までは年間100件以下だったのが21年度は2倍以上の231件、22年度は773件に爆増。2023年度はさらに増えて860件にまで増えている。

 もちろん、これは相談件数なので実際のボッタくり被害はこの何倍にもなるだろう。

 このような中、今年7月9日に静岡地裁は道路運送法違反や詐欺などの罪に問われていた「H&Yインテグレーション株式会社」(静岡県藤枝市)代表の男性に被告に対し懲役2年、執行猶予4年と罰金100万円を言い渡した。

 同社の被害者は170人以上。売上はわずか1年半で4500万円。1人当たりの平均は約26万円というからいかに荒稼ぎしていたかがわかる。

■「帰らない」と言われ、高額を支払うはめに

 この業者の具体的な高額請求の被害を紹介する。

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事例1:女性ドライバーが運転中、車を縁石に乗り上げてしまい近くの修理工場に運んでもらうためレッカーを依頼した。請求額は相場の10倍近い17万円、あまりにも高いと業者に掛け合ったが請求額は変わらず、さらに話し合いの時間(1時間)も作業時間としてカウントされ合計24万円の請求となった。女性は仕方なく支払った。

事例2:バッテリーが上がって不動となったためネットで検索して同社に修理を依頼。サイトにはバッテリー修理の料金が「8800円から」と書かれていたが業者が現場に到着して提示された見積額は10万円以上。高額なので断ろうとしたが「お金を払わなければ帰らない」と業者に言われ仕方なく支払うことに。なお、バッテリー修理は行われなかった。

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 いずれも請求額を「高い」と考えて業者に掛け合ってはいたが、結局は業者の強い態度に負けてしまった。

 損保や共済の無料ロードサービスやJAFを使っていればほぼ無料となる内容であり、こんな被害に遭うことはない。どのようなプロセスを経て、高額な費用を請求されて支払ってしまうのか?