<独自>沖縄での陸自訓練に米軍施設を活用 部隊増強へ防衛省が調整、用地取得は見送り

AI要約

防衛省が沖縄県内の陸上自衛隊部隊増強に伴う訓練場を確保するため、在日米軍施設を活用する方針を固めた。

沖縄県内での陸自訓練場確保は重要で、部隊の増強に合わせて計画されている。

米軍施設の共同使用は日米間の抑止力・対処力強化の一環として促進されており、訓練を円滑に行うことが期待されている。

<独自>沖縄での陸自訓練に米軍施設を活用 部隊増強へ防衛省が調整、用地取得は見送り

防衛省が、沖縄県内の陸上自衛隊部隊増強に伴う訓練場の確保について、同県内の在日米軍施設を活用する方針を固めたことが11日、分かった。防衛省は沖縄県内で新たな用地取得を検討していたが、適当な土地が見つからず、独自の訓練場新設は見送る。米軍キャンプ・シュワブ(同県名護市など)やキャンプ・ハンセン(同県金武(きん)町など)の利用を想定し、米側と調整を進める。複数の関係者が明らかにした。

沖縄県内での陸自の訓練場確保は、令和8年度に予定する陸自第15旅団(那覇市)の師団格上げに伴い計画されている。部隊人員が現行の約2500人から3千人規模に拡大するため、訓練場の不足が見込まれる。

中国が尖閣諸島(同県石垣市)周辺などで活動を活発化させる中、自衛隊は防衛力の「南西シフト」を進めている。陸自は部隊増強に合わせた沖縄県内の訓練場確保を「南西防衛強化の重要な基盤」と位置付ける。

防衛省は当初、沖縄県うるま市のゴルフ場跡地(約20ヘクタール)を取得し、訓練場の新設を計画していた。しかし、住宅地に隣接していることなどから地元が反発。木原稔防衛相は4月、計画を白紙撤回する方針を表明した。

木原氏はその際、訓練場整備計画について「訓練などの在り方について幅広い視点から再検討する」と述べていた。沖縄県内で別の訓練用地取得も検討したが、既存の米軍施設を活用した方が訓練を円滑に実施できると判断した。

自衛隊と在日米軍による日米双方の施設の共同使用は、令和4年末に策定した国家防衛戦略で、日米一体の抑止力・対処力強化の一環として機会を増やす方針を掲げた。7月に東京都内で開かれた日米外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)では、南西諸島の施設を含む共同使用の促進が確認された。

◇キャンプ・シュワブとキャンプ・ハンセン

いずれも沖縄県北部に位置する米海兵隊の基地。それぞれ訓練場を備えている。シュワブは名護市と宜野座村に置かれ、面積は約2000ヘクタール。沿岸では米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設が計画されており、埋め立て工事が進んでいる。ハンセンは金武町、名護市、恩納村、宜野座村に所在し、面積は約5000ヘクタール。