「医者よりも薬剤師を信用したほうがいい」明確な理由…日本人の大半は知らない、同じクスリを出し続ける「Do処方」の闇

AI要約

帝京大学大学院教授の今井博久氏によれば、医師が機械的にクスリを処方する状況が当たり前になっている。

継続的な同じクスリの処方や一包化に注意が必要であり、薬剤師との連携が重要である。

薬剤師は患者の全体像を把握しやすく、医師へ疑義照会する場合も多い。

「医者よりも薬剤師を信用したほうがいい」明確な理由…日本人の大半は知らない、同じクスリを出し続ける「Do処方」の闇

「減薬の第一人者」といわれる帝京大学大学院教授の今井博久氏によれば、「たいていの意思は、疾候や疾病ごとに“機械的に”クスリを出す」のがもはや当たり前な状況にあるという。

前編記事『《減薬の第一人者》が警告…!「ムダなクスリを出されている要注意パターン」すべて教えます 』では、今井氏の助言を元に、「危険な処方」を判別する方法を解説したが、まだほかにもある。

医師が何ヵ月にもわたっておなじクスリを処方し続けている場合にも注意が必要だ。東京都内の大規模病院で働く薬剤師が言う。

「一度出したクスリを、次の診察の際にも出すことを『Do処方』と言いますが、安易にDo処方ばかりする医師をしばしば目にします。

たとえば、70代の患者さんが医師に『花粉症のクスリを出してほしい』と言い、抗アレルギー薬が処方されたケース。2ヵ月後に定期受診すると、医師は常用のクスリに加えて、もう必要ない抗アレルギー薬も出し続けたのです。

通年で抗アレルギー薬を常用する人はいるので、調剤薬局でも気づかれませんでしたが、これはあぶない処方です。薬剤師としては、Do処方をするなら、処方内容をしっかり確認したうえでやってもらいたい。

生活習慣病のクスリなど飲み続けることを前提とするものではないのに、数ヵ月にわたっておなじクスリが処方されている場合には、『危険な処方』を疑ったほうがいい」

さらにDo処方に関連してとくに注意すべきが、「一包化」である。この薬剤師が続ける。

「『一包化』とは、患者さんがクスリを飲みやすいように、何種類かの錠剤を、一回服用ごとにワンセットにして一つの袋にまとめるサービスです。

たしかに飲み間違いがすくなくなるという利点はあります。でも、きまったクスリをワンセットにしたことによってそのセットが固定化してしまい、すでに不要になったクスリまで一緒に飲み続けるという事例を目にしてきました」

複数の病院からの処方に、Do処方……そんなにいろいろ考えられないと、心が折れそうな方もいるかもしれない。そういう人は、なによりもまず薬剤師に相談をしてみることだ。シンプルに見えて、実は奥が深い。

前出の今井氏が解説する。

「これまでの経験上、不適切な処方を調整するには、薬剤師が患者さんのふだんの生活の様子を聞き取って、その情報をもとに医師と連携するという流れが効果的だと思っています。

医師は、意外に患者さんがどのようなクスリを飲んでいるのか『全体像』を把握しづらい側面があります。その点、薬剤師は、全体像を比較的把握しやすい。そのうえ、患者さんにとって薬剤師は相談するハードルも低い傾向にあるでしょう。薬剤師は重要なカギを握っているのです。

実際に、薬剤師が患者さんのお薬手帳を見て処方されすぎていることに気づき、薬剤師から医師に『この処方で問題はありませんか?』と『疑義照会』するケースも多く見られます」