退官後の理想は「くまのプーさん」? 最高裁長官が定年前に会見

AI要約

最高裁の戸倉三郎長官が定年退官を前に最後の記者会見を開き、重い仕事を終えたことをほっとしている様子を示した。

パリ五輪を引き合いに、入賞は果たせなかったが自己ベストを出せたと振り返り、爽やかな気持ちを表明した。

戸倉長官は性同一性障害特例法や優生保護法に関する判決を導き、性的少数者の権利についても言及。人々が多様な社会に対応する必要があると述べた。

退官後の理想は「くまのプーさん」? 最高裁長官が定年前に会見

 最高裁の戸倉三郎長官が7日、10日の定年退官を前に最後の記者会見を開き、「重い仕事を終えてとにかくほっとしている」と述べた。現在行われているパリ五輪を引き合いに「メダルも入賞も果たせなかったけど、自己ベストの記録を出せて爽やかな気持ちだ」と振り返った。

 戸倉長官は2017年3月から最高裁判事を務め、22年6月に長官に就いた。大法廷の審理では裁判長を務め、性同一性障害特例法の規定をめぐる違憲判断や、旧優生保護法を「立法時点で違憲だった」とする判決を導いた。

 長官を務めた2年あまりの間、性的少数者の権利をめぐる争いが相次いだ。背景には「社会や価値観の多様化」があるとし、こうした訴えに「我々はちゃんと向き合わなければいけない」と指摘。

 一方で、「裁判所だけの判断で解決するものではない。国民一人ひとりがどういう社会にしていくかを考えること(が必要)だ」とも述べた。

 退官後の生活については、「くまのプーさん」を例に出した。プーさんには「何もしないことが、最高の何かにつながる」などの名言がある。この作品に心境を重ね、「しばらくは『何もしない』ことを一生懸命にやりたい」と晴れやかな表情で話した。

 戸倉長官の後任には、最高裁判事の今崎幸彦氏が就任する。(遠藤隆史)