「積算が甘かった」市民文化会館の改修に要する総事業費が27億円増に 事業計画は二転三転 先行き不透明【静岡発】

AI要約

静岡市の市民文化会館が老朽化のため改修工事を計画しているが、入札が進まず受注企業が現れない状況にある。

工事費用の増加や予算の変更などの理由から、改修計画は長期間にわたって変動しており、市の文化活動に影響を与えている。

市は27億円の追加費用をかけても改修を実施する必要があるとしており、市民文化会館の再生を強く求めている。

「積算が甘かった」市民文化会館の改修に要する総事業費が27億円増に 事業計画は二転三転 先行き不透明【静岡発】

演劇やコンサートなど文化・芸術活動の拠点となってきた静岡市の市民文化会館は老朽化のため改修工事を計画しているが、予定通り進まず関係者も気を揉んでいる。工事の入札をしても受注を希望する業者はいない。一体何が起きているのか?

静岡市葵区の市街地にある静岡市民文化会館。

JR静岡駅や静岡鉄道のターミナル駅からのアクセスもよく、コンサートや大道芸ワールドカップ、それにミュージカルや学校行事まで様々な催しで利用されてきた。

1978年の開館以来、市民・県民の文化芸術、娯楽の拠点として親しまれてきた市民文化会館だが、ある問題に揺れている。

鈴木櫻子 記者:

こちらの建物、設備の老朽化などにより、改修が必要となっています。しかし、その改修工事にかかる費用をめぐり再整備事業への入札は1件もないのが現状です

待合ロビーのベンチは開館当時に作られたもののまま。ホールの客席や照明などの機材もメンテナンスが追いついておらず老朽化が進んでいる。

静岡市文化振興課・望月雅乃 課長:

市民文化会館は1978年に建てられ、大規模改修を耐震補強も含めてやるが全体的に古く、今のニーズに合った形での改修を考えている。例えばこちらの第4・5・6の会議室は、現状、会議室と和室という形だが、文化の活動拠点にしたいということで練習室にリニューアルしていく

施設の再整備をめぐっては、一時はアリーナとの複合化が検討されたほか、改修の事業手法も民間が投資するPFI方式から公共事業方式に変わるなど、事業計画や費用が7年近くにわたって二転三転してきた。

静岡市文化振興課・望月雅乃 課長は「大規模な空間の改修となると費用がかかってしまう上に予想以上に物価高騰があった」と話す。

こうした中、静岡市の2024年6月の補正予算案が発表されると市民文化会館の総事業費が大幅に増えることが明らかとなった。

静岡市・難波喬司 市長:

再度積算した結果、大変申し訳なく残念だが今まで総事業費を124億円としていたが27億円増の151億円になります

改修部分の変更はないにもかかわらず費用が27億円も増えてしまった原因について、市は物価高騰の中で設備の単価設定など「積算が甘かった」と説明した。

その上で、難波喬司 市長は「27億円はとんでもない金額だが、これがないと市の文化活動が回らない状況のため、大変申し訳ないがこの金額をかけても改修せざるを得ない」としている。